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異世界突撃部隊 ゼロゼロワンワン  作者: 拝 印篭
第一章【大森林】風来無宿 
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10.殲滅の巨人兵!

 荒ぶるキマイラに対し、ガオジーの部下達が闘いを挑み始めたが、小型トラック並の巨体を持つキマイラには完全に火力不足だ。刃の薄い槍だけではかの怪物に傷を付けるどころか、牽制にもなりゃしない。まして、武器の無い俺の出る幕は無いだろう。


「くそう! せめて魔法師の一人でもいればなんとかなるかもしれなかったが……」


 このままでは蹂躙されてそう遠くない未来に全滅である。せめてメロンだけでも逃げ切ってくれればいいのだが……


 そう思ったところ、青い顔をしたままだったメロンが意を決したかのように表情をきりっとさせて俺に話かけてきた。


「一分だけ持ちこたえてくれるよう伝えて!」


 彼女の要請を、俺はガオジーにそのまま伝えた。


「頼む! 何とか一分だけ持ちこたえてくれ!」


「む! あいわかった!」


 何も聞かずそう言って、ガオジーが槍を構え正面からキマイラに相対する。豚面のくせに男前な御仁だ。槍を構え直すと、残った二人の部下と共に守りに徹した闘いを始めた。


 その隙にメロンは何やら細長いアイテムを懐から取り出し、印を結ぶと共に呪文を唱え出す。


「天界、地界、冥界の守護者よ。我が呼びかけに呼応し御身の現身(うつしみ)として我が前に顕現し我と我の同胞に奉公せよ!」


 何やら厨二魂を刺激する文言を唱えたかと思うと、彼女の前に六芒星を模した光の魔法陣が出現した。


「荒ぶる守護者の現身よ。我が脅威となりし者に等しく滅びの祝福を与えよ」


 魔法陣から何かが出現してくる気配がする。


「出でよ! 現身! マグダラァァァァァァァン!」


 一層光り輝き始めた魔法陣から黒い巨人が顕現する。全高4m程の背丈の、ゴーレムという奴であろうか? 左の拳を腰だめに、右の拳を天高く突きだした、所謂ウルトラマンの変身ポーズのような格好で現れた巨人は、かっこよく……は、ないな? 背丈の割に顔が大きく精々4.5等身位の落書きのスーパーロボットのような感じでパースも若干狂っている。

 六角の目。直線でエッジの効いた鼻すじ、ロボなのに無意味に刻印された分厚い唇。なんか、昭和40年代前半のバッタもんキャラ商品みたいなロボットのデザインである。


 いや、非常事態でそんなデザインにケチをつける気は無いのであるが、やはり、日本人の魂が違和感を刺激され、「これはないわー」と、感じてしまうのだ。

 もし、これで強かったら俺、この世界で生きてく自信なくすわー、と考えてしまう程ありえへん立ち姿であった。


 しかし、件のロボは俺のそんな気持ちをあざ笑うかのように猛スピードでキマイラに突進していく。


「危なーい! みんな避けろ!」


 オークたちに慌てて声を掛けた俺の声に振り向いたガオジーが


「撤収!」


 と、二人の部下に声を掛け、慌てて飛び退くと、そこにロボがタックルをかます。突如現れた巨体にキマイラが横転すると、蛇の尻尾を捕まえてロボが振り回す。


 三回転した所で蛇が千切れてキマイラは宙を飛び数十メートル程飛んで地面に叩きつけられた。


「マグダラン! ガトリングキャノン!」


 メロンが指示を出すとロボの腕が肘の所からぱかっ! と折れ曲がり中から銃口が現れる。


 ぶぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ! 

 

 と、凄まじい音と硝煙の匂いが一帯を支配すると、一瞬後にはキマイラの胴体に大きな無数の風穴が開いていた。


「グ、グォォォォォォォッ!!」


 だが、敵もさるもの、未だ絶命せず、それどころか向き直ってロボに攻撃せんと躍りかかってきた。しかし、


「マグダラン! ファイヤービィィィィィム!!」


 六角の目から怪光線を発射すると、キマイラの体が熱により膨張していき、爆発! 炎上! 遂にキマイラを殲滅した。


 つ、つえぇぇぇぇぇぇぇっ! 何なんだ! これ!?


「あの雌、上位錬金師(ハイ アルケミー)だったのか……しかし、あんなゴーレム見たことねぇ。こんな奴が戦場に出てきたら……」


 ガオジーが俺の傍まで戻って来てぽつりと呟いた。部下の二人も呆然としながらキマイラの骸を見上げている。


 マグダランとかいうロボを呆然と見上げていると、その銃口が俺達の立っている方へと向いた!?


「何の冗談だ!?」


 ガオジーが俺に向け剣呑な視線を向け、槍を突きだした。俺は助けを求めてメロンの方を見やると、今迄に見た事の無いような氷のような目つきで、冷たい声音でこう俺達に告げた。


「マグダランは第一級の軍事機密。彼を目撃した敵性種族は、殲滅します」


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