ポルカドットポエム
湿った土の匂い。
遠くから
ザー…と重なる
いろんな物を
叩く音。
トタンから
ポタポタと
止めどなく落ちる水玉。
傘をさし、
水玉の暖簾をくぐる。
パタパタと
傘が鳴る。
濡れるアスファルト。
歩く足元ではねる水。
水溜まりをよけたのに
いつの間にか
脚に張りつくズボン。冷たい。
肌もべたつく。
靴も重い。
踏み込むたび
ギュッギュッと
靴下から滲む
ぬるい水。
靴先から
水鉄砲のように
飛び出すほどに。
あ、ミミズ。
かなり太い。
危なかった。
踏んでいたらきっと、
大変だった。
ミミズは溺れたのか動かない。
横の塀を這う蝸牛。
音もなくゆっくりと
自由な線を描く。
彼らも急くことが
あるだろうか、と思う。
道の横に咲く紫陽花たち。
青、赤、薄紫、桃…
皆それぞれに大きな顔を
零れんばかりに綻ばせ、
キラキラと眩しい。
葉に鮮やかな黄緑の
小さな蛙が
載っている。
黒い瞳を潤ませて、
礼儀正しいお辞儀のように
両前足をついている。
宝石を見つけた。
白く煙る山々。
鬱蒼と生い茂る雑木林。
かさの増した水路。
長靴を忘れたことも
気まぐれな空も
濡れた不快さも
流してしまえる。
水路に沿って進もう。




