第37話 爆弾種族
目の前に、どこからどう見ても美少女にしか見えない男エルフがいた。
俺は震える指をエルフに向けた。
うららかな昼下がりの飯屋で、客たちは不審がって入り口に立つ俺に目を向けてくる。
「お、おと……」
全部を言う前に、エルフ♂ことニニアンが席を立ち上がり、猛然と襲いかかってきた。
「!」
猫ちゃんが素早く反応して俺の前に出るが、手を取られると紙切れのように一瞬で宙を舞った。
何をされたのか猫ちゃんにはわからなかっただろう。
師匠と幾度となく組手をしてきた俺だから、手を取られた猫ちゃんが勢いを利用されて宙に浮かされたのが見えた。
猫ちゃんはふわりと両足で着地するが、その間にエルフは俺との距離を詰めてきた。
瞬く間に胸倉を掴まれた。
ついでに口をしっかりと塞がれている。
「おとこ」と言い切る前に、すべてが終わっていた。
「それ以上は禁句。坊や。それともおじさんと呼ぶ?」
こいつ、鑑定で俺の年齢を看破してやがる。
目に魔力を集めた素振りもなかったのに。
冷静沈着な声音に、明るさのない瞳。
このエルフの表情は、抜け落ちた能面のようだった。
師匠にどことなく似た美人のエルフだと思ったのに、師匠よりも鋭く慈悲のない冷たい印象を受けた。
「ねえ? どうなの?」
顔を突きだせばキスしてしまう距離。
香り立つ匂いも女としか思えない。
しかし後が怖くてそんなことできるわけもない。
ついでに男とキスしたくない。
どんだけ可愛い美少女のような精巧な作りをしていてもだ。
「いえ、やめてください、何も言わないんで、マジで」
野性の動物の縄張り争いはどちらが強いか睨み合って、最初に目を逸らした方が敗者になるという。
俺は逃げるように目を伏せ、おののきながら降参とばかりに諸手を挙げて言った。
「ならいい」
「……はい。わたくしめ、なにも見ておりませぬ」
長いモノには巻かれる性質であった。
この世界では大抵の荒くれには怯まない自信があるが、エルフは別格であった。
俺の脳裏には師匠に喫した敗北の数々が色濃く刷り込まれているのだ。
「ううん、代わりに別のことを喋ってもらう。これのこととか」
俺の細い手首に、エルフの繊細な指が絡みついてきた。
エルフは男でも手がモデルのように綺麗だからな。
ぐいっと思ったよりも強引に引っ張られ、銀の腕輪を晒すことになった。
「ニシェルという名に心当たりがあるはず」
ないと嘘を付いても許してくれそうな雰囲気ではなかったので、俺は素直に頷いておいた。
「師弟の腕輪……弟子?」
「ええ、まあ、うんと……そうだったかな……?」
「どっち? 腕をもぎ取って調べる方法もある」
「はい、弟子です」
俺は高圧的な女性(?)の脅迫に弱いらしい。
観念して頷いた。
なんだか剣呑な様子でやんなっちゃうよ。
それって俺にまで向けられるものなのかい?
まさか師匠を始末しようというエルフの追手ってオチはないよね?
師匠に関わった人間全員始末するとか言わないよね?
そうなったら断固として戦いますよ僕ァ。
徹底的に関係を否定してやろうじゃないか。
いや、無理か。
もう関係性バレてるみたいだし。
なんなのよ、一体なんなのよぉ〜。
「ニシェルの手掛かりを探してる。ついてくる」
ついてくるとはこれいかに。強引に引きずられて行く。
猫ちゃんが慌てて後にくっついて追いかけてくる。
エルフはさきほどまで話していた冒険者たちなどいないもののように、店を出て行こうとする。
「ちょっと待てよ」
男たちが立ち上がった。
話途中に勝手に出て行かれたら、当然快く思わないこともあるわけで。
パーティメンバーかと思っていたが、どうやら違うようだ。
「おれたちの話がまだ終わってないだろ」
どうやら彼らは見た目だけは美少女のエルフを勧誘中だったらしい。
「ごめんなさい。用ができたのでまた今度」
しかし本当に素っ気ないな。
笑顔が作れないのかと思うほどの鉄面皮ぶりだ。
男たちが明らかに見下した態度で俺と猫ちゃんを見る。
ちなみに猫ちゃんのフードは、幸か不幸か外れていない。
尻尾もくるぶしまで届くローブの裾に隠れてしまっている。
獣人族だと分かった途端、もっとひどい侮蔑を受けるだろうからな。
これまでの経験で十分にわかっているつもりだった。
「用って、そのガキどもかよ」
「そう。初めから勧誘は断るつもりだった」
「んにゃろう!」
「にゃ」がついたからと言って猫ちゃんが発したわけではない。
野太い声で「この野郎」と言いたかったのだろう。
こんな説明どうでもいいか。
ともかく、男三人が色めき立った。
戦士に狩人、探索者というのもいるが、全員がひとしく冒険者だ。
探索者とは、おそらく戦闘以外の雑事をこなす役職なのだろう。
ゲームでいうところのマッパーとかシーフ、荒事以外の何でも屋だ。
荷物の多さから見て、そんなふうに当たりを付けた。
もしここにいるのがか弱い女の子なら、路地裏に連れていかれてあんなことやこんなことをされてしまうだろう。
しかし強さで比較してみると、むしろか弱いのは冒険者三人組だった。
猫ちゃんにも劣ってしまうのだ、残念ながら。
そうとは知らない三人組が、体格差だけで判断して近寄ってくる。
見た目だけで言えば、女子供な俺たち三人の方へ。
「もし私をパーティに入れたいと言うなら、この子を嬲り殺しにして。そうしたらパーティに入ってもいい」
男たちが顔を見合わせる。躊躇うのはわかる。
俺もまた、何言ってんのこいつと、驚愕した目でエルフを見た。
気が削がれたのか、探索者がテーブルに戻った。
狩人も腰を落ち着け、戦士だけがまだ未練があるようにその場を動かない。
「もういいよ、やめておこうぜ。あのエルフ、頭がおかしい」
その意見にはすごく賛成だ。
「そうだそうだ」と小さい声で便乗したら、手首をきつく握られて痛い思いをした。
関わりたくないのに俺のほうは件のエルフにがっちりと拘束されて、逃げる隙もないんですよね!
「でもよぉ」
「じゃあこっちの子でもいいから」
エルフが猫ちゃんの方を指差す。
さっきエルフに投げ飛ばされて負けているのを見た手前、更にやりにくいだろう。
そんなこともわからないのか。
いや、わからないのだろうな。
種族が違うと思考にもちょっとずれがあるし。
「おじさん!」
俺は涙を目に溜めて、冒険者たちを見た。
「助けて!」
三人が顔を見合わせる。
腰を落ち着けたふたりも立ち上がった。
「パーティ云々はこの際どうでもいい。子供を連れて行こうとするのは、感心しねえぜ」
男三人はエルフを好戦的な目で見ている。
「小癪な真似」
エルフは俺を見下ろし、冷たい目でそんなことを言った。
「子供ふたり旅なんで、自己防衛はちゃんとしないとでしょ」
「……それも一理ある」
俺はエルフに聞こえるように、ぼそぼそと言った。
エルフもまた、考える素振りをして、そんな風にぼそぼそと返してきた。
もうなんなのこの人。
抜けている人なのだろうか?
男三人がエルフに詰め寄り、肩や腕を押さえようとした。
次の瞬間、エルフはいつ抜いたのかナイフを閃かせ、三人分の男の指を切り落としていた。
ぼんやりと自分の、指のなくなった手を見つめる三人。
「おいちょっと! 何やってんのこのエルフは!」
俺は慌ててエルフの腕を振り解こうとして、できなかった。
がっちりと掴まれており、冗談で済まさない雰囲気だ。
遅れて三人の男が、自分の手を押さえて悲鳴を上げた。
店は混乱し、遠巻きにしていた連中も騒ぎ始めた。
「私が何か悪いことでもしたような口ぶり」
「してるから! たかが口論で指を切り落とすことないじゃないか! ヤクザだってもうちょっと気が長いよ!」
「敵意があった。それに反応しただけ」
「限度があるから! せめて骨を折るくらいにしておいてよ!」
それでもやり過ぎ感は否めないが、指を落とされた後では緩和措置に思えてくるから不思議だ。
治療できない傷を負わせるのはまずいでしょうに。
場を騒然とさせるだけで、冗談にもならない。
このエルフにはそんな発想が一ミリもないようだ。
落ちた指を拾おうとした猫ちゃんを止めておかないと、大事な物入れに入れてしまいそうだ。
人の指だって、猫ちゃんにかかれば魔物の鱗とかと同じ扱いみたいだし。
「ここはうるさい。きて」
「その前に指を治して!」
「治さなくちゃダメ?」
「当たり前でしょ!」
「ふむ……」
本来なら俺が治したいところだが、エルフにがっちりと掴まれ、猫ちゃんを引き留めるので両手が塞がっている。
エルフは考えているようだったが、蹲る男たちに向けて手をかざした。
「“精霊たちよ、離れたものを元の場所へ繋ぎたまえ”」
落ちた指が、元の場所へと磁力に引かれるように戻っていく。
あっという間に指は元通りになった。
涙を流していた男たちが、不思議そうな顔をしている。
触れずに治すとは、治癒魔術は上級まで使えるようだ。
「治した」
「ええどうも!」
俺は逆にエルフを引っ張るようにして店を出た。
猫ちゃんが駆け寄ってきて、空いているほうの手を掴む。
戦士たちはその場に根が生えたように呆然として、追ってはこなかった。
それが正解だ。
俺だってできたらこのエルフと関わりたくない。
隙を見て巻くのが最善だろう。
「どこに行く? 話なら路地裏でもできる」
「もうちょっと落ち着いたところで話しましょう」
「そういうもの?」
「エルフ族はどこでもいいのかもしれませんけど、人族はそうなんです」
「エルフだって場所を弁える」
何を言っているのだか。
なんとか納得させて、ふたりを引っ張っていく。
憤然としたようだが、そこには気を悪くしたような感じはなかったので、とりあえず座って落ち着ける場所を探す。
なんで俺がこんなに気を揉んでるんだろ?
人通りの少ないオープンテラスを見つけ、店で飲み物を買い、軒先の席に三人で座った。
「ニシェルはどこ?」
「早速ですか。師匠ならテオジアですよ」
「テオジアってどこ? 案内して」
「いまは無理です。場所だけ教えます」
「ダメ。最後まで案内する」
妙に高圧的だ。
俺だって会いたいの我慢してるってのに。
彼と師匠の関係を知りたい。
会わせてはいけない気がビンビンにしているのだが。
俺がどう切り出そうか悩んでいる横で、猫ちゃんはミルクをこくこくと喉を鳴らして飲み、ぷはっと満足げに息を吐いた。
俺の飲みかけの飲み物をじーっと見てきたので、それを猫ちゃんの方に押し出した。
「にゃはー」と猫ちゃんは嬉しそうに受け取った。
「あの、俺の方は、なんでもお答えしますけど、逆に俺が聞きたいことに答えてもらえますか?」
「嫌。私が答える義理はない」
いや、こっちにもねえよ?
喉まで出かかったが、何とか呑み込んだ。
変に口を滑らせて怒りを買えば、村を火の海にしそうな目をしている。
人の指をあっさり切り落としたのは、伊達ではないのだ。
「何度も言いますけど、俺から話す分には問題ありません。だから、あなたが何を聞きたがっているのかが分かれば、要点だけを話せると思うんです」
「人間はまどろっこしい……わかった、聞かれたことに答える」
だからなんで上から目線なのかと。
五十歳を超えているとそうなるのか。
頭が固くなるんか。どっちがおっさんだ。
そう思っただけなのに、エルフの目が険しくなったので目を逸らして口笛を吹いた。
「それで、何を聞く?」
「まずは名前から」
「知っているものをなぜ教えなければならない」
「えー、そうだけどさー、自己紹介とかさー、いろいろとあると思うんですけど」
「面倒なことをする必要もない」
名前 / ニニアン=ニシェス
種族 / 森人族
性別 / 男性
年齢 / 五十七歳
職業 / 魔導士、狙撃手、薬草学士、調合師、細工師、付与魔術師
技能 / 属性魔術、超身体強化術、付与魔術、造形術、神眼
ステータス画面を見れば、確かに名前はわかる。
でも前置きとか大事だと思うんだけどなー。
日本人の奥ゆかしさをこのエルフは露ほども理解しないのだろうな。
かなり苦手なタイプだ。
話すだけ話してさっさと別れよう。
少なくとも、師匠に敵意を持つ奴はすべからく俺の敵である。
彼の言い分を聞いて、よっしゃ師匠お覚悟を、なんてことにはならないと確信できる。
師匠が鬼畜野郎ではないことは、短い時間の中でも容易に見抜ける。
「まず、なぜ師匠の情報を聞きたいのですか? 口調から憎しみのようなものを感じますが」
「憎しみ……」
ダンッと、テーブルを叩いた。
猫ちゃんがビクッとして耳を伏せた。
怯えてしまわないように、フォローによしよしと耳の後ろを掻いてあげた。
このエルフ、常に無表情だから、何をしでかすかわからない恐さがある。
エルフの前に置かれていた、手を付けていない飲み物が倒れ、テーブルに広がる。
俺はこぼれないように手をかざして液体を球体にした。
それを空中に拡散させて消す。
猫ちゃんは目を丸くして見ていた。
「憎いというのならそう。ひとりで聖域を出て行ったこと、職務から逃げたことを私は恨んでる」
「聖域の番人ですか」
「なぜ知っている……いや、『運命の系譜』を見たのか」
「いや、話に聞いたんですけどね」
俺がステータスと呼んでいる物は、エルフにとって『運命の系譜』とご大層に呼ばれるものらしい。
このステータス画面、人のこれまでと、これからも見られる機能があるようだしな。
師匠がそんなことを言っていたのを思い出す。
俺にはまだ見ることができないが、師匠はどこまで見ていたのだろうな。
ひとひとりの人生を覗き見るのは、ちょっと嫌だな。
気分の良い物じゃない。
「聖域の番人……職務を放棄した癖に、いまだに職を解かれていない」
「ぼくが聞いたのはそういう職に就いていたことだけです。あんまり執着はしていなかったと思いますけど」
「執着していなかった、だって?」
またテーブルをドンと叩いた。
店の中から不審に思ったのだろう店員が顔を覗かせていたが、エルフの耳に気づくと恐れをなして頭を引っ込ませていた。
「そのことについてはぼくは何も言えません。師匠から何も聞いてませんから」
「だったら何を聞いていたか」
「妻と子がいて、いずれ会わせたいけど、聖域に戻れないから難しい、とだけ」
妻子の話になると、師匠は遠い目をして話していた。
決して嫌っていたわけではないということが、その横顔から察せられたものだ。
目の前のエルフは、少しだけ眉をしかめた。
しかしそれ以上の表情の変化はない。
憶測では語れない。
聖域の話になると途端に師匠の口は重くなったので、他には本当に何も知らなかった。
「他には何か言っていたか?」
「いえ、それくらいしか」
「そうか……」
美少女エルフ(外見)は俯くなりぐっと拳を握り、白く細い手がさらに白くなっていた。
猫ちゃんは怯えてしまい、グラスを持ちながら、心持ち俺の方に椅子をずらしていた。
顔を上げたエルフは、無表情に戻っていた。
「おまえ、随分と仕込まれてる。属性魔術に治癒魔術、高身体強化も使える」
「優秀な師匠を持ったので」
「あれは優秀じゃない。ただの臆病者」
「見解が違うのはしょうがないんじゃないですか? 俺には最高の師匠でしたけど」
「最高と思うのは、人族が大したことのない種族だから」
ニニアンと見つめ合うが、決して甘いものではなかった。
無言で感情をぶつけ合っている。
そのうちバチバチと空気が爆ぜそうだ。
なんでこうなるかな。俺には彼と敵対する理由はないのに。
いや、師匠を憎んでいれば敵対することになるのか?
「年齢から察するに、師匠と面識はないんじゃないですか? 師匠は五十年以上前からエルフの聖域を離れていると言っていましたし」
「そう、私に会った記憶はない。だからこそ会わなくちゃいけない」
決意を秘めた目をしていた。
しかし俺には、話の全貌が見えない。
師匠が恨みを買うほどのことをしでかしたとも思えない。
それか、聖域を出ること自体が禁忌なら恨みを買うのもわかるが、彼もまた聖域を出てしまっている以上、その恨みはお門違いではないだろうか。
彼の首には紋様がない。
師匠が聖域の番人という役目を受けていた証を、彼は持っていない。
まさか師匠の子ども?
「聞きにくいことなんですけど、師匠のお子さんですか?」
「……違う。あいつの子はニスペル。私はニスペルの友人」
何かを思い出して腹が立ったのか、ニニアンはテーブルをドンドンと叩く。
「自分の子どもなのに。ニスペルは一人前なのに、誰よりも優れたエルフなのに。父親のせいで聖域で不遇の身だった」
殴りつけるのでは飽き足らず、ゲシゲシとテーブルを蹴り出した。
鬱憤は相当のようだ。
店から店長らしきひげを蓄えた老紳士が眉根を寄せてこちらを窺っている。
「場所を変えましょう。興奮しすぎです」
「うるさい」
「頼みますよ、ほんと」
なんで俺ばかりが苦労しなくてはいけないのか。
これではまるで酔っぱらった上司を介護する部下である。
そう呪いながら、不貞腐れたニニアンを連れて席を立った。
誰彼構わず八つ当たりしそうな態度に、内心で面倒くせえと思う。
師匠の知り合いらしいからこうして話を聞いているが、師匠に似たところなんかありはしない。
「だから私はあいつを見つけ出して、聖域の番人をニスペルに引き継がせる」
「そのせいで自分が聖域に戻れなくなっても?」
「些細なこと。私は聖域に戻っても居場所はない」
「そうなの? どういうこと?」
「教える義理はない」
「あーはい、そうですかー」
里のルールはちょっとよくわからない。
ニニアンの立場もだ。
ステータスにある職業は引き継げるの?
俺の知らないことがまだまだありそうだ。
「あの男がいる場所を知っているなら、さっさと連れていって」
「だから遠いんですって」
猫ちゃんと手を繋ぎつつ、村を出ることにした。
交易の拠点になっている村だから、ひとの出入りも多い。
他人を巻き込みたくないし、あまり目立ちたくはなかった。
村の中にいては、周りに危害を加えかねないやつがひとりいるのでゆっくりと話もできない。
「それに、俺たちはテオジアとは反対に向かってますから」
「案内するまでついていく」
「えー……」
内心、すごく嫌である。
顔にも出てしまったと思う。
しかし、エルフはどこ吹く風であった。
本当に空気の読めない種族である。
どこかで撒けるだろうか。
俺は余計な荷物を抱えたことにため息を吐いた。




