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闇吸蝶図鑑  作者: 夜宵
15/22

015




美青「こんにちは、お母様ですよね?

お迎えありがとうございます」




母「こんにちは!いいえ、こちらこそ

ありがとうございました。それで…颯空は

学校で何かあったのでしょうか?」




美青は、颯空から聞いた話を伝えた。


颯空の母は怒りに満ちた顔をしている。




母「学校に連絡します。許せないわ…

颯空はどう見たって女の子じゃない!

いくら可愛いからって、こんな歳から

嫉妬するものなのね、嫌だわ」




美青「え……あの…」



その時、

影で話を聞いていた叶実が現れた。




叶実「…あなた、何言ってるの?彼は

立派な男の子よ。本当は男らしい服を

着たい。髪も切りたい。そう思ってる。

あなたが自分の好みを押し付けた結果、

彼は傷ついてるの。わかってる?」





母「何よあなた!!失礼な人ね!!

本当に輝く姿に出来るのは母親だけ。

母親にしかしてあげられないのよ。

颯空ちゃん、帰るわよ!」




母親は休憩室に座る颯空の腕を

無理やり引っ張って連れて帰った。




颯空は、振り返って悲しそうな顔で

『ごめんね』と口を動かした。




美青は、『またおいで』と返した。





美青「颯空くん…逃げ場がないじゃん。

家にも学校にも。心配だよ」






叶実「いわゆる毒親ってやつね。完全に

承認欲求の道具じゃない。子供も意思を

尊重出来ないなんて、親でもなんでもない」




そう言って、近くで飛んでいた蝶を

呼び寄せ、親子について行くよう伝えた。





家に着くと、颯空の母は

すぐさま学校に苦情を入れた。




母「颯空ちゃん、明日は学校お休みして

いいからね。ママが校長先生に会って

お話してくるから」





颯空「そんなことしなくていいよ……

僕が紛らわしい格好をしてるから…

髪を切って、服を変えればいいだけ」





母「僕じゃなくて私よ。もっと女の子

らしくしないと。髪を切る?何の為に?

レースやリボンがとっても似合う顔なのに

どうして素材をだめにしようとするの?

あなたの良さを引き出せるのはママだけよ」





母に何を言っても通じない現実に

颯空は絶望した。




唯一の理解者である父は、

仕事が忙しく、帰宅は颯空が寝た後だ。





誰にも助けを求められないことが辛くて

ご飯は半分以上も残し、そそくさと

お風呂を済ませて部屋へと向かった。




颯空「ただ嘘をつかずにありのままに

生きたいだけなのに…何が悪いのかな。

お母さんは…何で女の子にこだわるの?」




なかなか寝付けず天井を見つめる颯空は、

目を閉じて夢への招待を待った。


月明かりが睫毛についた涙を照らす。



隙を見て部屋に入った蝶は

颯空の左耳に止まり、

口吻を耳の穴へ向けた。



蝶の羽は、黒に縁取られ、

青と赤に変色していく。



その姿は、まるでミイロタテハだ。




男なのに、女のように生きるのことを

強いられる環境に苦しむ颯空。



ミイロタテハの色は、

颯空を境遇を鮮明に表した。




闇吸いの様子を見ていた叶実は、

万華鏡から蝶を戻らせた。





叶実「母親に注入したところで、もう

何も変わらないのは目に見えてる。」




美青「じゃあどうするの?」




叶実「…学校に電話している時、明日の

16時から該当生徒の親との話し合いの

場を設けると言っていたわ。その時に

賭けましょう」




二人と蝶は、鏡に映る颯空の無垢な寝顔を

切ない表情で見守った。




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