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あれから一ヶ月が経ち、
春佳は両親に肩を支えられながら
神社に参拝に来た。
美青と叶実は、離れた場所で
親子の様子を見守っている。
両親はそれぞれ、願いが叶ったことへの
お礼を涙しながら伝えた。
春佳は何も言わず、何かを願って
手を合わせる。
そして、三人が礼をして顔を上げる。
父「地方に引っ越すことになりました。
心機一転、三人で支え合って行きますので
どうか、今後とも私達を見守って下さい」
父の声に合わせて、
改めて三人で礼をして帰っていった。
遠目から見ていた二人は
前を向く家族の姿に、少し安堵した。
美青「心の傷は消えることはないけど…
春佳さん、少しでも癒えていくといいね」
叶実「彼女、雷が起きる度に苦しい記憶が
蘇るかもしれない。長い戦いになるわね。
そうならないように、私が毎日祈るから」
美青と叶実は、三人の新しい門出が
幸多きものになるよう、
静かに手を合わせた。
キアゲハ。
黄色に黒の縞模様。
後ろ翅に青と赤の斑点が映える。
春佳の心の闇を写し出したその模様は
雷と停電した暗闇
そして
春佳の涙と血の滲むような屈辱を
現していたのかもしれない。




