3_キアゲハの復讐
閉門後の作業が終わり、
美青が帰り支度を始めた時
近くに落ちたとわかる程の雷鳴が轟いた。
同時にザァーっと雨が降り始め、
周辺の建物全ての明かりが消えた。
美青「うわっ!停電!?どうしよう…」
暗闇に視界が慣れるまで目を凝らしていると、
ボウッと火が灯った。
叶実「蝋燭とマッチなら腐るほどある」
叶実はそう言いながら一挺、また一挺と
蝋燭に火を灯していく。
美青「これじゃあ家に帰れないな…電気が
復旧するまで居させてもらってもいい?」
叶実「ええ、もちろん。雨も酷いものね。
一歩でも外に出たらずぶ濡れよ」
美青「ありがとう。さっきの雷、近所で
落ちたよね…凄い音がした。大丈夫かな」
二人は蝋燭の灯りを頼りに
窓から外の様子を伺っていた。
二週間後
この日は祝日で、美青は朝から
神社で働いていた。
授与所で対応をしていると、
暗い顔をした夫婦がやってきた。
美青「こんにちは」
妻「こんにちは…あの…護摩木を一本
お願いします…」
美青「どうぞ、お納めください」
妻「ありがとうございます…」
夫婦は深々とお辞儀をして記載所へ行く。
夫が護摩木に書き込むと、奉納箱へ納め、
下を向きながら帰って行った。
夫婦の深刻そうな様子が気になり、
美青は願いが書かれた護摩木を手に取る。
そこには
【元の春佳に戻りますように】
と、書かれていた。
美青「春佳…娘さんのことかな?」
夫婦で参拝に来るなんて
余程思い悩んでいるのだろう。
美青は心配そうな顔をしながら
徐々に遠くなる夫婦の背中を見つめた。




