天啓天使②
ダークエルフ領付近の森についたものの
どうにも感じる反応が多すぎるようで前髪様からの指示は止まらない。
「こんなの間に合いませんよ!!」
(文句は白ローブたちに言いなさいよ!!)
二人して余裕がなくなってくる。
そしてその様子をあざ笑うかのように森が紫の光を放ち出した。
未だ解除しきれていない魔法陣、
数を見るにまだ見つけることすらできなかったものもあるかもしれない。
それに向かって光の柱が立ちのぼり、
その数が増えるごとに空も禍々しい色に染まっていく。
(どうにかしなさいよ!!あなたならできるわよ。)
そんな。
どうにかしろって言われたってそうしろって言うんだ。
(どうにかって言ったらどうにかよ。
ちょっとはその頭、柔らかく使いなさいよ!!)
「頭…やわらかく…」
その時浮かんだのはジェリアの姿。
彼女は回復のための魔法を身体能力向上のために使っていた。
僕にもできるんじゃ…
「格納」
空に向かって放たれた光。
詠唱をした途端、その行く先が変わった。
展開した魔法陣吸い込まれるかのように光が消えていく。
やっぱりだ。
『格納』の格納性能と『次元跳躍』の吸い込み。
二つを同時に使うのはコツがいるが今はそれでいい。
(やるじゃないの!!見直したわ!!)
かかる負荷も今は半分女神様が肩代わりしてくれてるから関係なし。
普通ならこんな大規模には発動できなかった。
女神様からほんの少し力を借りてるおかげなのかな?
空は元に戻り、日の光がさし…てくることはない。
…あれ?おかしいな。
見上げた先、空には巨大な魔法陣が。
さっきまであんなのなかったはずなのに!?
まさか…
僕は直近の事なのに忘れていた。
魔法局での魔法陣解除の際に何があっただろうか?
罠が仕掛けられてたんじゃなかったのか?
今も同じ状況だとしたら?
さっきので終わりじゃないとしたら?
黒の魔法陣が渦巻き、中から何かが出て来んともがく。
ソレは魔法陣のふちに手をかけ、今にも顕現しようとしていた。
「あれは…?」
(洗脳で増幅させた負の感情を糧に召喚されるナニカ。
こうなることも想定済みだったんでしょうね。)
黒が渦巻いているため顔が見えない。
というか顔があるのかどうかも分からない。
でもそこには確実に憎しみがあった。
目がなくとも、顔が見当たらなくとも感じる負の感情こそが
目の前のコレがエルフから作られたものだといえる唯一の証拠だと言える。
(まだ間に合うわ、あの魔法を防ぎなさい。)
「どうやって!?」
(言ったでしょ、天使の力には邪悪を祓う力があるって。
あの悪意を持った魔法も例外じゃないはずよ。)
「あんなおっきいのを!?」
(きっと大丈夫よ。あなた、ジェリアって子の魔法消し飛ばしたじゃない。)
「あれは、なんかよく分からないのが
ぶわぁーって来たからできたんですよ。」
(ならもう一回同じことやりなさい!!)
なんて無茶なこと言うんだ、この女神は…
あんなのあの時以来出たことないって
魔法陣を正面に見据える。
(あなたが強く望めば、きっとその力は応えてくれるわ)
僕が望むのは…
思いが紡いでいく世界だ。
手を伸ばせば魔法陣が展開した。
ユリの文様が刻まれた白の魔法陣。
どこからかユリの花びらが舞い、
一輪の巨大なユリが咲く。
片や禍々しさを増す魔法陣、
片や息をのむほどに凛とした美しいユリ。
「天啓白花凛」
魔法陣から魔法が発動すると同時に
ユリの花びらが風に舞い、凶悪な力の本流を包み込む。
ジェリアの魔法に比べれば大したことない。
踏ん張れ…僕。
白の光が禍々しい光を飲み込んだ
気付けば魔法陣は消え去り、
空からは白の花びらが雪のように舞っている。
全てがうまくいったように見えた。
でも、現実はそこまで甘くはなかったんだ。
「なんで…そんな…」
消えたかのように見えた魔法陣。
それは消えていなかった。
一時的に消滅したかのように見えたそれは再度回転を始める。
さっきので残っていた気力も力も全て使い切ってしまった。
飛ぶ力もない、
体の底から振り絞った力をもってしても止められなかった。




