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その後の話

例の試合の後、狂戦士となって見境のなくなったジェリアが

対戦相手であるないに関係なく潰して回ったことで

必然的に決勝で僕とジェリアが当たることになってしまった。


とはいえだよ。

ジェリアのルロイへのお仕置き(のちに本人はそう語る)のせいで

舞台はほぼ全壊、

なんなら地面ごと抉られてて原形をとどめていない。


決勝は数日後に先送りになってしまった。


ついでにルロイはジェリアの家で寝かされているらしい。

なぜ僕が人から聞いたような喋り方をしてるのかって?

それはね…


「さぁてリリィ、出てきなさい。

何も怖いことはしないから。お話しましょう♪

私たち今ならもぉっと仲良く…なれるわ。」


ジェリアの狂戦士化。

それによる粛清がなされていないのは僕だけなのだ。

ルロイがジェリアを煽るためについた嘘といえ、

今の彼女が耳を貸すとも思えない。


命を懸けたかくれんぼの真っ最中なのだ。


お話→お話死、に聞こえ

仲良くに込められた意味さえも勘ぐってしまう。


「昔はあんなに仲良くしてたじゃない。

出て来てくれないなんて悲しいわ。」


お涙頂戴発言をしているが騙されてはいけない。

あんなこと言いながらその目は狩人のように爛爛と僕を探しているのだから。

粛清のため…粛清…


「悲しいわ…」


違う、これは演技なんだ。

僕をおびき寄せるための演技。

騙されるな、絶対に出て行くんじゃない…


「分かったから。僕の負け、話くらいなら…」


「あんたならここら辺に隠れてると思ったのよ。」


僕はどうやらこういうのに弱いのかもしれない。

最後に視界に映ったのはジェリアの金の目。

それはまるで狩人の如く爛爛と光っていたのだけは覚えている。


◇◇◇


目が覚めると見知った天井が半分ほど覆い隠されていた。


「あら起きたのね。まる二日くらい寝てたのよ。

ジェリアちゃんがごめんなさい。」


双丘が話しかけてくる。

こんなこと前にもあったような…

どうやらジェリアのは遺伝らしい、何がとは言わないが。


聞けば鬼の形相をしたジェリアが僕を引きずって帰って来たらしい。

その時、僕は気を失っていたようで

そんな中でも「やめてぇ、死ぬぅ」とずっと言っていたんだとか。


僕自身、あの時の記憶はない。

多分思い出そうとしても脳が拒むんだろうなぁ。


お礼を言って起き上がると日はすでに高く昇っていた。

体の節々が痛い。

これも全てジェリアのせいだ、そうに違いない。


「そういえば御前試合の決勝、明日なのよ。

決勝まで進むなんてすごいわ、リリィちゃん。」


「すごいわ」って言われてもなぁ…

僕の力じゃないんだよなぁ。

お宅の娘の狂戦士のおかげというか何と言うか。


「まぁ僕なんてジェリアにボコボコにされておわりでs」


「それは違うわ。」


ジェリアママが遮る。

その目に僕の内側を覗いているかのような、

全てを見透かされてしまいそうな感覚をおぼえる。


「ジェリアちゃん言ってたもの。

あなただけだって。ジェリアちゃんが本気を出せるの。

だから大丈夫よ、自信もって。」


そっか、ジェリアがそんなことを。

少しは僕を認めてくれてるってことでいいのかな?


「そうですか、分かりました。頑張ります。」


「うん、頑張ってね。

ほら、ジェリアちゃんも丁度いるし遊んで来たら?」


…この人、今何て言った?

ジェリアが、後ろに…


「リリィ、あんたって奴は。

人の恥ずかしいことばっかり聞いちゃって...」


わなわなと震えるジェリア。

うつむいた顔は見えないが恐らく涙目になってるんだろう。


「このバカぁぁぁっ!!」


また一日中、追い回された。


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