前へ目次 次へ 91/239 勇気 「そ、それって、、」 誰かが声を発した。蚊の鳴くような声だ。 ムラヤマは声のした方を見やった。少年たちはみな下を向いて黙りこくっている。 気のせいだと考えたムラヤマは、サイチロウに顔を向け声をかけた。 「よし、サイチロウ。」 サイチロウはビクリ肩を震わせて顔を上げた。その目は真っ赤に腫れていたが、涙は乾いていた。 「キャプテンとして最後の仕事だ。終わりの挨拶を、」 「それって何かデータとかあるんですか?」 ムラヤマの言葉に割って入ったその声は緊張のせいか上擦っていた。