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正義
フミタは自分が間違っていないことを確信した。しかし、だからといってサイチロウを励ませる言葉が見つかったわけではなかった。
自分の確信をサイチロウに伝えることは間違いだと考えた。たとえ自分の中で正義が固まったとしても、それはサイチロウの正義ではないのである。
正義とは人の数だけある。そのことをフミタは幼いながら理解していた。親が派遣社員であることが関係しているのだろうか?どのように?はて?
とにかく結局のところ、フミタは何も出来なかった。メソメソと泣き続けるサイチロウの横でただ手をこまねいていた。




