前へ目次 次へ 197/239 オオモノ 「ね?」 フミタが振り返った。 刹那、タベオは鼻から指を抜いてそれでさりげなく頬を掻いた。そして思案気に視線を落とした。 少しの間をおいてフミタは首を戻し、タベオに背を向けた。 それを確認するやタベオはまた鼻の穴に人差し指を差し込んだ。 (いるぞ。”おおもの”が奥の方にいる。指先にその気配を感じる。) タベオは人差し指をゆっくり慎重に鼻の奥へ突き入れた。 (焦るな。焦れば”モノ”を奥へ押しやってしまう。慎重に。)