前へ目次 次へ 127/239 戸愚呂 ムラヤマは飛び起きた。汗でグッチョリと濡れた寝巻きが体に張り付いていた。 巻グソが夢だと思い至ったムラヤマは安堵したが、それも束の間、左腕の猛烈な痛みに頬を歪めた。 フミタに噛まれた傷が痛むのだ。 それほど深い傷ではないはず。だった。血は出たが皮膚を裂いた程度で肉には達していない程度なはずであった。 寝巻きをたくし上げたムラヤマはゾッとした。歯型の傷跡が青黒く変色しているのだ。そしてその青黒い歯型の紋様はまるで巻きグソのように戸愚呂を巻いて見えたのである。