104/239
人質
「そうか!これならどうだフミタ!」
ムラヤマはサイチロウの首根っこを掴んで自分の胸元に寄せた。
「お前が離さないならサイチロウを殴る!どうだ!離せば殴らない!!」
あれ?フミタには聞こえてない。獣に人間の声は届かない。
「おい!フミタ!殴るぞ!サイチロウを殴るぞ!!」
聞こえてないって。フミタの目を見ろ。瞳孔が開いてる。もはや意識は空の上だ。
「殴られてもいいのかフミタ!お前のせいでサイチロウが殴られてもいいのか!!!」
怒号。悲鳴。咆哮。なんでもいい。フミタにどうすればムラヤマの声は届くのか?




