97/146
ツンデレ的実利の引き出し方
「アテ、か……あったら、よかったんだけど」
たはは、と男は恥ずかしそうに笑う。
何一つ笑い事ではなかったのに……
「……さっきの話、ですがね」
「うん?」
「流石に本当かどうかもわからない話を信じろって言うのは無理があります」
「……それは、まぁ」
男はバツが悪そうに首筋を掻いた。
「逆に言えば、プラスで何か、そそるモノがあるなら協力してもいいですよ」
一はああ言った手前、素直に協力するとは言えなかった。
その上で、実利を含めた提案だったが、
それは一を傲慢に見せた。
「何かって言われても……」
「何かですよ、何か」
「しかしねぇ……人様に渡せるようなものは……」
「……貴方、その状態ではまともに戦えませんよね。
俺が代わりに戦うと言ってるんです。
アテもなく、しらみ潰しに探し回るなら、それくらいはすべきじゃないですか?」
「言わんとすることはわかるが……うーむ……」
男はぎゅっと目を瞑った。
駄目か、何か別の落とし所がないかと、一が考え始めた時だった。
「……あっ、妹が持ってる情報なら、どうだろうか?」