泥水とは言えないが……
用事は済んだ。
一はギルドを出て、辺りをふらふらと歩いた。
考えがまとまっていない。
でも、まとめないといけない。
一は近くにあった公園に立ち寄ると、自動販売機で缶コーヒーを買って、ベンチに腰を下ろした。
プルタブを引いて缶を開けると、一はふと、気兼ねなく缶コーヒーを買っていた自分自身に驚いていた。
もちろん、高いものではないが、割高なものという認識で、
一は自動販売機自体あまり利用しないようにしていたが、
昨日の今日でその価値観は壊れていた。
「……」
ぐっと一息、コーヒーを流し込む。
一にとって、不味いとも美味いとも言えない苦味が喉を下した。
「……ふぅ」
それでも、カフェインの効果か、一の頭をクリアにしたーーと言うのは一の認識で、そんなにすぐにカフェインが効き始めることはなく、単なる苦味によるものか、あるいはプラシーボでしかない。
ただ、思考がクリアになったことはよかった。
かと言って問題が解決した訳でもないのだが……
「どうするべきかな……」
一が唯一手に入れた『ミラクルキノコ』の情報はただ一つ。
何処とは問わず、全ダンジョンに0.000000000356%の確率で出現するというものだった。