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情報の価値
「そうですね」
「百万の間違いではなく?」
「ええ、ご購入されますか?」
「それはもちろん」
「そうですか」
と、女性は一瞬考えるような素振りを見せた。
「……余り、こう言ったことを言うべきではないのですが」
「はい?」
「価格には理由があります、当然ながら。
安価だということは、当然その価格に見合う程度の価値の情報しかないということです」
「あ……まぁ、そう、ですよね」
「それでも、ご購入はされるんですよね」
「それは、はい」
例えどんな些細な情報であっても、今は必要だ。
「ご購入は現金で?」
「はい」
一は硬貨を差し出すと、女性は受け取った。
「では、領収書と一緒に情報を印刷しますので、少々お待ち下さい」
一は100円の領収書なんて、とも思ったが一応は経費だ。
僅かでも税金に影響するので、素直に受け取ることにした。
女性はPCを操作してプリンターを動かすと、
印刷している間に領収書を記入した。
大して待つこともなく、一の前にその二つを持ってきた。