知らないものは知らない
ーー翌日。
瑞葉との約束は3日後だ。
とは言え、それまで遊んでいる訳にもいかない。
一は二葉の治療素材探しも兼ねてダンジョンに潜ろうと考えていた。
しかし、それには問題があった。
どこのダンジョンにどの素材があるのか?
一はその情報がない。
試しにネットで調べてみたものの、信憑性が薄い情報しかなかった。
ギルドの情報部ならわかるかも知れないが、当然情報料がかかるがその相場もいくらかわからない。
「うーん……」
朝食のパンを齧りながら、一は唸った。
(昨日稼いだ額なら足りるかな?)
そもそも、それまで使えた額を考えると清水の舞台から飛び降りる覚悟が必要だ。
(これだけあれば、朝昼晩好きなもの食えるよなぁ……
返済を考えなかったら、だけど……
いや、また同じことすれば良いだけなんだけどさ!
……でも、そんな上手くいくのかな?
意外と稼げなくて、昨日のあれが瞬間最大風速でしたみたいなことが起こったり……)
「いやいや、今そんなこと考えてても仕方ない。
必要なことなんだし、行くだけ行ってみるしかない!」
一は泣きそうになりながら、パンを押し込むと、
有り金を握りしめて、ギルドに向かった。