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君だから出来る
「まぁ、わかりやすいのはそうですが……」
「……」
鈴鹿医師はじ……と、一を見つめていた。
「……な、なんですか?」
「不動さん、妹さんが完治するかどうかは貴方にかかっています」
「……!」
「我々では、どうしようもないんです。
その素材がなければ」
「……もし、他の人が『ケースE』にかかったとしたら、
ただひたすらに、延命治療をするしかないってことですか?」
「余程の大富豪でもなければ、そうなります」
「……」
一もダンジョンに潜る者として、素材の値段は予想がつく、
どれも貴重なものだ一つの素材につき数十万から数百万の費用が必要になるだろう。
それはもちろん、ギルドに売る際の売値と一般人がそれを買う際の買値に明確な料金差が発生するのも要因ではあるが。
そう言う意味でも、一が一般人ではなく『世界と繋がった者』だったことは運がよかったのかも知れない。
「正直、自分がこんな高級素材を集められるか不安ではあります」
そう、一は能力が大幅に上昇したとは言え、まだレベル2なのだ。
「でも、二葉のために頑張って集めてみようと思います」