プロローグ:無自覚に傷つけられる
ギルドにつくと、特に待つこともなくすぐに換金してもらった。
金額を確認すると、一はすぐに財布にしまった。
「たまには、武器か防具か買っていかないの?」
「え?」
知らないというのは、時として罪である。
確かに一が手にした金額は手頃な装備ならば、一つくらいは買うことも出来る。
事情を知らない女店員が営業の一環として声をかけるのもおかしなことではない。
しかし、家賃の支払いでその大半は飛ぶし、そもそも生活費と妹の病院代で装備に割く余裕はないのだ。
「あ、いや、また今度にします」
一は愛想としてそう言った。
もちろん、その気はない……余裕が出来ればまた話も変わってはくるが。
「そう?でも、いつも使ってるバンテージ、ボロボロじゃない?」
「……」
『世界と繋がった者』がダンジョンに入る際、自身の『職業』を設定することで、
その『職業』の技術をレベルアップと共に学ぶことが出来る。
レベルアップが困難な一には無意味そうでいて、レベル1であっても基本技術は使うことが出来るので、
一も当然設定してある。
そして、それが装備選びにも影響する。
一のその時の『職業』はメインに『格闘家』サブに『魔法使い』だった。