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治す手立て
「あ、いや……すみません」
鈴鹿医師に話しても仕方がないことだ。
「話を戻しましょう。
この『ケースE』という病、『E』に限らずでもあるのですが、明確な治療法が確立されていません」
「……!」
「私達に出来るのは病気の進行を遅らせることだけです。
本人の努力次第では人並みの寿命を手に入れられることも出来ますが……」
「……病院に篭りきりで?」
「そうなります」
10代の少女の話だ。
人並みの青春どころか、真っ当な人生を望むことすら憚れる。
「二葉は、治らないってことですかっ……!」
「……いえ、治らないのではなく、治せません」
「……?」
意味が分からず、一は首を傾げた。
「治す方法がない訳ではありません。
私達では出来ないというだけで」
「!なんなんですか、その方法って!」
「……不動さんは『覚醒者』なのですよね?」
「え、あ、はい」
「ご協力頂けるのでしたら、あるいは」
「え?…………あ、ダンジョンか!?」
「その通りです。
ダンジョンの発生により生まれた病、その治療法もダンジョンにあります」