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『E』
詳しいことは、両親から話されていないのでわからないが、
病状を知ったことで……病院に行ったことで、両親の精神状態が乱れ、事故が起こったのではないか?
真偽は確かめられないが、そんな疑念は常に付き纏っていた。
「……そうですか、ではイチから説明させてもらいます」
鈴鹿医師はそんな一を知ってか知らずか、淡々とした口調だった。
「はじめに、不動二葉さんは『ケースE』と呼ばれる奇病です」
「『ケースE』……奇病?」
「はい、ダンジョンが発生してから、ダンジョンが及ぼす環境の変化により、新たな病が発現するようになりました。
最初に発見された病を『ケースA』とし、
不動二葉さんは5番目に発見された病にかかりました、
それが『ケースE』です」
「……なんですか、それ。『ケース』とかつく病気があるなんて初めて聞いたんですが」
「そうですね、この『ケース』と呼ばれる病は、
情報が広まるのを避けるために、政府から箝口令がしかれています」
「えっ」
「と言っても、特に罰則がある訳ではなく、
こうして、ご家族の方に説明することは出来ます」