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不一致
「ーー」
思わず、息を呑んでいた。
二葉の命の灯が確実に消えていってることを感じてしまったから。
「大丈夫だよ、お兄ちゃんこそ、忙しくないの?」
「あ、ああ……いや、余裕が出来たから」
「余裕?」
「ああ、兄ちゃんな、レベルアップしたんだ。
強くなったから今までよりずっと金も稼げるし、楽に動けるようになった」
購入費用……借金のことはあえて言わなかった。
共有する必要がないと思っていた。
「そうなんだ、すごいじゃん」
笑顔を見せる二葉。
その笑顔にさえ力なく感じる。
一の知る子供の頃の二葉はどちらかというと活発で、
イタズラ好きなどちらかというと悪ガキみたいな印象だった。
その印象と今の儚げな二葉が一致しない……
「どうしたの?」
「え……?」
「ぼーっとして」
「あ、いや……すまない、仕事帰りで疲れてるのかな」
「そうなの?無理しないでいいよ」
「悪い……いや、いいんだ。疲れてるからこそ、二葉の顔見れば元気貰えるかなって、思ってさ」
「な、なに恥ずかしいこと言ってんのよ……」