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もったいないの精神
これで、経験値も自力で稼げるのだが……
一の次のレベルアップまで必要な経験値は10億6900万だ。
ハイオークの経験値が59、ヘルハウンドの経験値が83。
以前程の絶望感はなくなったものの、
少なくとも、ミダスの森で経験値稼ぎは焼石に水だった。
「……レベルアップするにはやっぱり、あの飴玉じゃないとダメかな」
瑞葉のレベルアップアイテムは都合よく、必要分の経験値のみを補充してくれる仕組みだ。
つまり、またアレを使うなら、それまで稼いだ経験値は無駄になる。
理想で言えば、自力でレベルアップしてから使ったほうが効率はいい。
「……そんなのは無理だろ、割り切るしかないか」
一は頭を切り替えて、ミダスの森から出ることにした。
その足で戦利品を換金することにした。
換金所に戦利品を提出すると、担当者は目を丸くしていた。
一は悪い意味で有名人だった。
ぼろぼろになりながら、初心者向けダンジョンに出向き、それなりの素材の売却で小金を稼いでいる……というのが担当者の認識だった。