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これまでの借り
そこからは、瑞葉のペースだった。
瑞葉の決めた予定で強引に押し切られた。
と言っても、一としても指南してもらえるなら、それはそれで望ましかったから、抵抗はしなかった。
その日はそこで解散になった。
一は慣らし運転を兼ねて、そのままダンジョンでモンスター狩りをしてみることにした。
パンテナ草探しも、効率が悪いとは言え、モンスター狩りのついでに行う分には構わないだろうとモンスターと一緒に探し回った。
そして、夕方ーー
「はぁっ!」
一の拳がハイオークに突き刺さる。
『170のダメージ!ハイオークを倒した!』
「『アクアバレット』!」
一の水魔法がヘルハウンドを穿った。
『326のダメージ!ヘルハウンドを倒した!』
「ふぅ……」
昨日まで……いや、数時間前の苦労が嘘のようだ。
先程までは出会ったら死を覚悟しなければならないモンスターだったが、立場は逆転。
ミダスの森にいる程度のモンスターなら1〜3回の攻撃で倒せてしまう。
まさに無双状態だった。