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お誘い
「う……いや……」
「……」
瑞葉は真っ直ぐ、射貫くように一を見つめ続けている。
だからか、一には本音を零すしか方法がなかった。
「自信が……ないから……」
瑞葉の右眉がぴくりと動いた。
怒りを買ったか?と、一は身構えたが、
瑞葉は手を離すと腕を組んで、うろうろとその場を歩き始めた。
「え……あの……」
「自信、自信か……」
何せ、挫折知らずの天才肌だ。
凡人のような悩みとは無縁の彼女にとってはそれは意外な理由だった。
自信の塊のような瑞葉にとっては異質でさえあった。
「あ、あの……?」
「自信をつけさせるには……やはり、成功体験か?
何をもって成功とする?達成感、金額……
つまり、ビジョンか。ビジョンが見えたら、自然と道筋も見えるだろう」
そこで瑞葉はパン、と手を叩いた。
「仕方ないね……わかった。私が明日一日面倒を見てあげる」
と、瑞葉は人差し指を一に突きつけた。
「え……?」
「その能力でパンテナ草探しみたいな非効率なことされたら困るし、私が手解きしてあげる」