プロローグ:困窮
一日中、ダンジョンにいて、日に稼げる額は一万数千円がいいところ、
これを無休で続けることで、かろうじて自身の生活費と妹の病院代に届く。
そう休みなしで、活動して、だ。
もちろん、一が高校中退という今の経歴で就職したり、
アルバイトをしても……年齢的に深夜勤が不可能であることを加味すれば、現状最も稼げる方法だ。
しかし、この方法は常に危険がつきまとう。
初心者用ダンジョンと言っても、そこにいるモンスターは一般人には脅威だ。
そもそも、一はダメージが通るというだけで、
身体能力は14歳の頃から止まっている。
多少、周りの同級生よりも身体能力は高かったが、あくまでも中学生なりの話だ。
ダンジョンに潜れば、いつ命を落としてもおかしくない……それが、初心者用のダンジョンであっても。
本来才能の塊であるはずの一が、その才能に足を引っ張られている現状は皮肉にもならない。
加えて、『世界と繋がった者』はダンジョンで命を落としても、生命保険の対象にはなれない。
当たり前と言えば、当たり前。
常に命を賭けている者の生命保険を受けるほど、保険会社は馬鹿ではない。
だから、一は死ぬわけにもいかなかった。
妹を助けるためには……