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天然
一はサブ職業だった魔法使いをメインに切り替えた。
「あ、魔法使い?」
「ええ」
「ふぅん……」
そして、一はレベルアップアイテムを口に含んだ。
ーーと、ここで少しだけ瑞葉の話をしよう。
いかにもな天才肌の彼女だが、元来の性格は少々抜けている。
それはむしろ、天才肌な性質に付随するもので、
色んなところをソツなくこなせるせいで、
ついつい詰めが甘くなってしまうのだ。
言うならば、これは、このラグは彼女の詰めの甘さそのものだ。
すぐに"気づかなかった"のは……
「……って、魔法使い!?待って!!」
「え……」
カロ……と一の口の中でレベルアップの飴玉が滑る。
判定という意味で言うなら手遅れだ。
すでにレベルアップは始まってしまった。
「ぅぐっ……!?」
一の口の中の飴玉が弾けた。
ダメージを受けるほどのものではない。
強いて言うなら、炭酸飲料を口に含んだ時……いや、口の中に入れるとパチパチ弾ける綿飴のお菓子かのようだと一は思っていた。
『レベルアップ!レベル2になりました!』




