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職業選択の自由
「あ、はい」
と、レベルアップアイテムを口に入れようとしたところで一は思い直した。
(……いや、待てよ?その前に……)
一はウインドウを開き、自信のステータスを開く。
職業の欄はいつものように『格闘家』だ。
しかし、これは消去法でそうなっただけで、本当はバンテージを巻いただけのほとんど素手の状態で戦いたくはなかった。
レベルが上がれば、連動して職業レベルも上がり、
手持ちのスキルレベルが上がるか新しいスキルが手に入るが、
そうなればますます『格闘家』を続けなければならなくなる。
とは、言えど『戦士』や『剣士』になっても武器がない。
金を稼いだら買えるだろうが、そもそも最初は徒手空拳の状態で戦わなければならないのだ。
まぁ、その時だけ『格闘家』を装備してもいいのだけど、
スキルアップの恩恵が薄くなるし、急に身体能力が上がった身体で慣れない職業というのはリスクが高く感じる。
そう考えると一の選択葉おのずと限られていく。
『魔法使い』だ。