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銭
「何度も言うように、これは私の判断。
そこに不動くんの責任は発生しない」
「……」
「だけど、選択権は……この契約を結ぶかどうかは不動くんにある……さぁ、どうする?」
「っ……」
当然ながら、この選択は一の人生において大きな選択になる。
「あ、支払いが遅くなっても気にしないでいいよ。
一年毎に10%と利息を取るから」
「えっ……」
つまり、一円も返せていなければ一年毎に1億加算されるということ。
「ちなみにそれって、複利ですか、単利ですか……?」
「もちろん、複利だけど」
「……」
いわゆる雪だるま式。
一年返せなければ1億の利息、
その翌年、そのまま同じように返さなくば10億+1億の10%なので、1億1000万の利息に……
少なくとも一年で1億以上返さなければ支払いは際限なく増えていくということだ。
「ますます自信がなくなりました……」
「大丈夫よ、不動くんなら一年以内に払えると感じたし、利息が発生してもその分まで返せると思ってるから」
そういう問題ではないと一は思った。