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0か100か
「素質……俺にですか?」
「うん、実はあのオークとの戦い、最初のほうから見させてもらってた」
「……!」
「悪いとは思ったけど、不動くんを観察してみたかったからね」
「いえ……」
『世界と繋がった者』同士に救護義務がある訳ではない。
パーティを組んでいるならまだしも、
お互い、自分の責任で自分の意思で命を賭けているのだ。
死にそうな奴を見捨てたとしても、
それがどんな状況であったとしても、
それは自業自得。
多少の良心は痛むかも知れないが、
命賭けの状況で責められるはずもない。
「まぁ、それで、不動くんの動きを見てた訳だけど、
身体能力はレベル1だから置いておくとして、
思い切りがいいと感じた」
「……そうですか?」
「うん、0か100かで考えて行動していたように見える。
その判断力はダンジョンを攻略する上で必要なもの。
強者になれる素質だよ」
「……」
買いかぶっている、と一は思った。
どちらかと言えば、自分は優柔不断な人間だというのが、
一の認識だ。
あくまで、追い詰められて、必要に迫られたから行動に移しただけでーー