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潔癖
「なんですか?……と言うかなんでそんな指で摘むんですか?」
「あ、いや、汚いし……」
そこで一の苛つきはピークに達した。
「ああ、そうですか!なら、尚更ここでお別れしないと!」
「あ、違っ……そうじゃなくて、オークの血浴びたじゃん?不動くんって」
一はそこで思い出して、自分の服の臭いを嗅いでみた。
モンスターの死体はドロップアイテムを残して時間経過で消滅する、一応、浴びた血も消えるのだけど、何処となく臭い気がする。
一は一気に服を洗って、風呂に入りたくなった。
「……どちらにしろ。不快ってことには変わりないでしょう?」
「それはそう……じゃなくて!まぁまぁ!悪い話じゃないからさ、聞いてよ!」
(この人、本当余計なこと言うんだよな……)
一はこの日、何度目かのため息を吐いて、瑞葉に向き直った。
「わかりましたよ。じゃあ、なんですか話って?」
「うん、やっぱり不動くんは話して正解だったね」
「ええ?」
「君の状況を打破するアイテムがある」