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損得勘定
「……そう。じゃあ、メリットがあるなら話すの?」
「まぁ……それなりのモノなら」
「じゃあ、ソレ」
と、瑞葉は転がっていた棍棒を指差した。
先程倒したハイオークの残したドロップアイテムだ。
「あのオークを倒したのは私だけど、それまで戦ってたのは不動くんな訳だし、その棍棒は不動くんの物とする……ってのはどう?」
ドロップアイテムの権利を譲る代わりに話せ、ということか。
「武器としても普通に使えるし、解体して素材にも出来る。
それに、このランクのダンジョンのドロップアイテムだから、それなりの値でも売れる……悪くない提案だと思うけど?」
確かに一にとっては願ってもない提案だ。
いくら、一が戦ったと言っても、ほとんど助けてもらったに等しいあの状況で、ドロップアイテムの権利を主張するのは苦しいし、一自身考えていなかった。
加えて、一の苦しい懐事情も考えれば、多少のプライドなど気にするだけ損だった。
「わかりました。それ程まで聞きたいのでしたら」