本音
「いいじゃないですか。
……あなたには迷惑かけてないと思いますが」
「確かにそうだけど……」
瑞葉はふぅ……と息を吐き出した。
かと、思うと一を真っ直ぐに見つめた。
「もう、いいや。本音で話すわ」
「本音……?」
「ただの興味本意よ。お金が目的なのが間違いじゃないのなら、
なんでそんな無謀なことをしたのか、その理由が知りたい」
「それをこっちが話さないといけない理由は?」
「ない」
あまりにもきっぱりと言い切ったものだから、
一は片膝の力が抜けてがくりと、ずっこける形になってしまった。
「だけど、その話は話すと損なの?」
「……は?」
「不動くんのプライドは傷つくような話……だったとして、それ以上に失うものはないよね?」
(めちゃくちゃなこと言ってる……)
「もしかしたら、話すことで何かが変わる可能性があるかも知れないのに、プライドなんかのためにその機会を失うの?」
「もっともらしいこと言ってますけど、別にあなたに俺を助けようって意思がある訳じゃないんですよね?興味本意なんだから」
「そうよ」
「少なくとも、そんな人のために自分のプライドを捨てようって気にはなれません」