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丸肌
「……確かにそうですけど」
「でも、戦わなかった。不動くんでも倒せるくらい弱ってたのに」
「……え?」
「撃ち漏らしたって言ったでしょ、アレは瀕死だったの。
それに気付かなかった理由……あなたは戦おうとしなかった。
もし、その意思があればメッセージウインドウにヘルハウンドの状態が表示されたのに」
「!」
「恐らくはこのダンジョンにいるモンスターに敵うと思っていないんでしょう?
だから、戦おうなんて選択はあなたになかった」
「……ええ、そうですよ」
「正直、訳わからない。あなたの行動は……でも、目的はなんとなくわかる」
そう言うと瑞葉は一が背負っていたリュックを引っ張った。
「ちょっ……!?」
「中見せてみなよ、パンテナ草なんでしょ」
「……ええ、そうですけど」
「確か、今買い取り強化で、値上がりしてるんだって?
お金のためってのは、この商売でやる以上わかるけど、
あなたの場合リスクに見合ってるとは思えないんだけど」
「……」
思わず、一の奥歯に力が入った。