36/146
コロコロ変わる
瑞葉は横を向いてふぅ……とため息を吐いてから一に向き直った。
ごほん、と咳払いをしてかしこまってるような感じだ。
「それで、どうして"そんな実力で"このダンジョンに来たんですか?」
瞬間、その場の空気に亀裂が入った。
「……え?」
「とぼけなくとも、わかってますよ。
不動くんが、このダンジョンに入ってはいけない実力だってことに」
口調こそ、敬語を使って丁寧になっていたが、
瑞葉から感じる圧は先程とは比になっていなかった。
「……参考までにどうしてそう思ったのか、聞いてもいいですか?ハイオークにやられそうになってたから、ですか?」
瑞葉はめんどくさそうな顔になって、腕を組んだ。
「確信をもったのはそう。だけど、きっかけはもっと前」
(口調が戻った……)
「不動くん、ヘルハウンドを"倒さなかった"のはどうして」
「ヘルハウンド……?!どうしてそれを……いや、倒さなかった?」
「私が撃ち漏らしたヘルハウンドよ、エンカウントしたでしょ?」