プロローグ:不動一②
問題はその才能が、皮肉にも一のダンジョンへの挑戦を諦めさせる原因となってしまったことだ。
『世界と繋がった者』は、まるでRPGゲームのステータスのように自分の能力を知覚出来る。
そして、RPGゲームのようにモンスターを倒すことで、経験値を稼ぎ、レベルを上げることが出来る。
レベルアップに必要な経験値の差は個人によって異なる。
その必要量によって、
最終的に”公式に”最大レベルと言われる100に到達した際の最終的な能力に影響を及ぼす。
つまり、必要な経験値が少なければ、早熟に簡単に強くはなるものの最終的な能力は低く、
多ければ多いほど苦労はするものの、最終的な能力が高くなる大器晩成型になる。
一部例外も存在するのだが、才能のあるものほど大器晩成型になるというのが通説だ。
そして、一が覚醒した際に見た、レベル2になるための必要な経験値は9億6800万P――
ちなみに、初心者御用達のダンジョンに発生する弱いモンスターを討伐した時に手に入る経験値は2から7Pとなる。
当然ながら、レベルが上がるまで、技術面はともかくとして、身体能力が上がることはない。
『世界と繋がった者』の弊害として、通常のトレーニングは意味がない。
身体能力を上げる方法はレベルアップのみ。
いくら身体を鍛えようとしても、そこに意味はなかった。
加えて、初期能力は覚醒した時点の本人の身体能力に準拠する。
つまり、一は14歳の頃の身体能力のまま、成長が止まってしまったのだ。