落とし物
血の水溜まりが出来るが、それも5分程のことだ。
その間、誰も蘇生させないことで、モンスターの死骸は消滅し、ドロップアイテムがあればそれだけが残る。
無(と思われる)から生まれ、無(らしき場所)に帰す。
それがモンスターだ。
この辺りはゲームのようだった。
少女はドロップアイテムを拾いあげた。
「ラッキー、レアドロじゃん」
先程、転がった球体……眼球だ。
正式名称では『ヘルハウンドの目玉』だ。
通常ドロップするのは『ヘルハウンドの爪』『ヘルハウンドの牙』『ヘルハウンドの毛皮』から一つ〜三つなのだが、
目玉は確かに滅多に出ないレアドロップだった。
その分、売値は高くなるし、上等なアイテムの素材にもなる。
ドロップ自体はモンスターのHPが0になった段階でされているのだが、血で汚れるのを嫌った少女は死体が消滅するのを待ってから、アイテムを回収したのだ。
補足として、モンスターがアイテムをドロップするのは一度きりだ。
故にモンスターを何度も蘇生して、アイテムを集める方法は不可能だ。
「さぁて、次は……ん?」
少女はふと、地面を確認した。
地面が盛り上がっている。
というか、何かを引き抜いたような跡に気づいた。