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爆弾娘
「まったく、そんなになってもまだ生きてるなんて、
モンスターってのは厄介だね」
仮に一が戦う意志を持ったなら気づけただろう。
一見、眠っていただけに見えるヘルハウンドが、
ただただ瀕死だったということに。
「って、私らも似たようなものか」
もちろんHPが残り僅かなだけであれば、0にならない限りは動ける。
しかし、ヘルハウンドは、移動力低下、攻撃力低下、暗闇、虚弱体質……様々な弱体化を受けていた。
一であっても、このヘルハウンドを倒すことが出来る程には……
「ま、どうでもいいことか。じゃあ、アンタで最後だから」
少女は人差し指を突き出し、まるで銃口を突きつけるように、ヘルハウンドに向けた。
「くらっしゅ」
お世辞にもよろしいとは言えないたどたどしい発音。
しかし、その響きからは想像出来ない破裂音が響いた。
少女の前に、ヘルハウンドの残骸が転がる。
コロコロと球体が少女の足元に転がる。
グロテスクな光景だが、少女は何も発さずただ見下ろしていた。