危険なのは何か
「世の中ニハ知らないホウがいいこともアルってことサ。
知ってしまえば、"消される"かも知れないコトだってあル」
「例えば……お前の存在とか?」
影はキュッとその顔らしき表面がしまったかと思うと、「プハッ」と噴き出した。
「ははハはハ!確かに、ソウかもナ!」
「余計な忠告だ、今更」
「はハ、待て待テ。確かにワタシを存在を知った時点デ、深入りしてシマッタかも知れないが、
それは偶発的なモノだろう?
シカシ、踏み込んで知ってシマッタらそれはそちらのイシということにナル。
ここは重要なテンだとオモワないか?
それとも、毒を食わらば皿まで、トでもいうつもりカ?」
「……」
確かに一にとって、影の正体を知ることは好奇心を満たす以上のメリットはないかも知れない。
必要以上にリスクを背負ってまですることではないだろう。
と、考えられたが、一の結論は違った。
「それを判断するのはお前じゃない。
そして、俺でもないだろ」
「うン?」
「それこそ、お前の存在を知られたら困る奴らがいるとしたら、お前と接触した時点で危険だ。
"そいつら"がどう判断するかなんてわからない。
なら、何も知らないままより、何かを知っておくほうがマシだ」