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交渉
「お前……何者だ!?
それに蘭堂の妹はどうした!?」
「あー、アァ、ウルサいなァ。
バカ正直にコタエるワケないだろォ?」
影はまるで人間のように耳を塞ぐ仕草をした。
「……」
一は落ちていた枝を拾うとくるくると回しながら、考えた。
そして、人差し指の代わりに木の枝を影に突きつけた。
「答えた方がメリットがあるなら、答えるだろ?」
「メリットぉ?」
「蘭堂の妹はわかるな?……生きているのか?」
「オイオイ……メリットとやラをテイジせずにハナシをススめるのかァ?」
「そこが最低条件だからだ。
そこがクリアされていないなら話にならない」
「……」
答えない影に対して、一はため息を吐いた。
「そうか、それさえ答えないのなら、お前の処遇は決まった。
蘭堂が合流して情報が引き出せた時点で死ぬことになる」
「……ハ。答えたラ、シなずにスムって言うノ?」
「蘭堂の妹が生きていて、居場所を教えるっていうなら、見逃してやるよ」
「……ソモソモ、ワタシが知らないって可能性ハどうするのサ?」