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意識
「……」
影は答えない。答えるはずがない。
そんなことはわかりきっていた。
そもそも、この影に知能があるのかどうかさえわからないのだ。
そう言う意味では、心理士を呼んでもどうにもならない可能性もあるが……
(……少し考えてみよう。
俺が抱いた……見たイメージは全て女性のものだ。
加えて、戦った時は蘭堂妹らしきものの(恐らくは)模倣。
つまり、コイツは女?あるいは、女性だけを模倣出来るのか?)
少なくとも、精神攻撃(?)も実際戦った際も女性という点では統一されている。
「お前は女なのか?」
返事があるかわからない。
意思疎通が出来るさえわからないが、一は問いかけていた。
「……」
返事など返ってくるはずがない。
そう思った時だった。
「……プハッ」
思わず吹き出した、そんな反応だった。
聞き覚えのない……しかし、女の声。
それは確かに影の意思のように思えた。
「お前……やっぱり知能があるのか!」
「……」
「だんまりで、やり過ごせると思うなよ!」
「……アァ、あー、あぁ……
ッタク、せっかくダマってやりすごせて、タのに……」