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二者
「………。そうか、でも、どうやって?」
ダンジョンのあるあるなのだが、ダンジョン内は圏外……つまり、携帯の類は使えないことが多い。
御多分に洩れず、この『ミダスの森』もそうで外部との連絡手段はほとんどない。
一応、ダンジョン用のトランシーバーというのも開発されていて、それを用いれば連絡を取り合うことも出来るのだが、二人はそんなモノ、所持してはいなかった。
「ダンジョンの外に出るしかないだろうね」
「コイツをここに置いてか?こんな得体の知れない奴をダンジョンの外に連れ出すのはマズいよな?」
「うん、だから一人は残ったほうがいい。
一人で外に出るしかない」
「……どっちが?」
「っ……」
一は空を見上げる。
夜も更けて、夜明けも近くなってきていた。
仕方ないと、一はため息を吐いた。
「乗り掛かった船だ、付き合ってやるよ。
でも、どっちが残って、どっちが外に向かうのかを決めなければならない」
前提として、蘭堂は弓を使い切り、サポートの弓使いということを除外してもまともに戦えない。
残るにしても、外に向かうにしても、単独行動するのは危険だ。