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想像
寄生の場合は、宿主と呼ばれる方にメリットはない。
どういった形の寄生かによるが、場合によっては宿主は寄生する側によって一方的に搾取され、その命さえ奪われることもある。
この影と怪物の関係はそのどちらなのかはわからないが、そこで最悪のケースを想像した。
(……この影が仮に生物に寄生するモノだったとしたら、
身体の模倣、それに声……コイツもしかして、"喰った"んじゃあ……)
一は自身の血が冷えていく感覚をおぼえた。
それを振り切るように頭を振った。
(いや、待て。
もし、その想像通りなら、もう助けられない。
助ける方法が俺達にはない。
そんなものを考えるのは不毛だ。
助けられるパターンを考えてみよう)
「……仮に、コイツがあの怪物と共生していたとしたら、
どうしてだろうか?」
「共生の理由……?」
蘭堂が答えるより先に一は一つの可能性を思いついた。
「あの蔦だろうか?」
「確かに、蔦の攻撃は影が分離する前にしか出来なかったよな。
アレはこの影が出していたんかね?」