考察
「それはそうだけど、闇雲にやっていい訳じゃない」
「くっ……なら、何か方法は……」
「……」
(方法……いや、それ以前にコレが何なのかがわからなければ、話にならないんじゃないか?)
一はいったん影から手を離して、立ち上がった。
「一度情報を整理してみよう。
わかってること、気づいたことを話し合えば何かわかるかも知らない」
「あ……ああ」
一の提案に蘭堂は頷くしかなかった。
「まず、コイツは本体らしき化け物が倒されたのに、 こうして残っている」
「本体、か……本体、なのかな?」
「と言うと?」
「いや……見た目からして、全くの別物だろう?」
確かに、大型の熊のような怪物に、人を模倣する影。
それを同じモノだと言うのは無理がある。
「コイツが化け物が使役したから、本体とそこから分離したモノと考えてしまってたけど、
それって先入観じゃないかな」
「……そうか、共生関係や寄生していた可能性もある、のか」
共生関係……よく例に挙げられのだと、
クマノミとイソギンチャクだろう。
クマノミはイソギンチャクの触手に隠れることで、外敵から身を守り、
イソギンチャクはクマノミの食べ残しを得ることが出来る。
所謂win-winの関係を形成する、別々の生物の関係だ。




