破裂
怪物が起き上がり、一の方を向く。
「この!『突拳』ーー!」
右手を振りかぶり、真正面から突っ込む一。
迎え撃たんと、怪物は雄叫びを上げて突進する。
「ゥウ、ォォーーーー!」
(……今、だーー!)
右手を虚空に振り抜き、急停止すると、左手に火球を作り上げた。
「『ファイアボール』ッ!!」
そして、突っ込んでくる怪物の、雄叫びを上げたその口内に至近距離から撃ち込んだ。
「!?!!!」
圧縮された魔力の炎が怪物の口内で弾けた。
ーー爆発。
相変わらずダメージ表記は出ない。
しかし、怪物はその顎を吹っ飛ばされて、ボトボトとその血液なのか、黒い液体を垂れ流していた。
「ふん……流石に、その身体の内側は脆いよな!」
立ち尽くす、怪物。
しかし、その眼には大怪我を負わされた敵への憎悪の光がともっていた。
「まだだ、兄さん!油断するな!」
「!」
怪物は次の瞬間、怒りのまま、両腕を振り回して暴れだした。
一は、後方に跳躍して距離を取る。
怪物はそれに気づかず怒りのまま、暴れていた。
(顔が半分潰れたことで、まともに見えてないな、アレは。
もう、二、三発撃ち込めば倒せると思うが、あの状態で接近するのは危険か……)