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咆哮
(そもそも、なんでダメージ表記が出ない……!?
効いてるのかどうかさえわからない!)
一はまだ余力はあったが、様子を見るためにここで手を止めることにした。
「いい加減……くたばれよっ!」
最後の火球を勢いよく叩きつけた。
「はぁ……はぁ……」
呼吸を整える一、エネルギーの消費により、学生の頃にマラソンを走った時と同等の疲労を感じていた。
「ーー」
怪物はムクリと起き上がると、威嚇のように両手……前足?を上げると雄叫びを上げた。
「ゥウオオオォォォーーーー!!!」
「ふん、やっと、"らしい"声をだしたか」
「くそっ、コイツまだ……」
「下がってるんだ、矢がないならもう戦えないだろ?」
「あ、ああ……」
蘭堂が下がるかわりのように、一は前進した。
(これだけ、魔法喰らわせてもピンピンしてるなら、魔法が効かないタイプって可能性もあるよな……
物理を試してみるか)
一の思考に応えるように、怪物はその右手を振り抜いた。