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ロスト
「いや……それがわからんのよ」
「え、どうしてですか?」
「メッセージウインドウには『?????』みたいになって、
名称がわからなくなっていたんだ」
「そんなヤツが……」
存在するのか?と、到底信じられなかった。
ダンジョンにおいて、メッセージウインドウは絶対だ。
間違うとか、わからないとか言う概念はなかった。
故に、一は口にこそ出さなかったが、蘭堂が法螺を吹いている可能性すら考えた。
「まぁ、実際に見ることになればわかるよ。
……出会いたくはないけどね」
「そうですね。……今はそのことはよかったですね。
はぐれた人を探さないと……はぐれたのは妹さん一人ですか?」
「あ、いや……一応、傭兵として別に戦士を一人雇ったんだ。
妹はシーフで、自分はアーチャーだから、前線で戦う人間が欲しくてね」
「じゃあ、その人も?」
「叶うなら見つけておきたい。
もちろん、身内の妹の方を優先したいがね」
別に見捨てると決めた訳でもない、このくらいは人間としては、当然の感情ではないだろうか。