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突然だが言わせて欲しい,私はゲームの中に転生した。


 突然だが,言わせて欲しい。

 私はゲームの中に転生した。

 待ってくれ,最後まで聞いてくれ,私がおかしくなったのではない。


 理由はいくつかある。まず,通貨の製造及び発行を政府が主導で行っていない。だから,この世界の通貨は地球的価値観で言うと,違法な方法で製造され,責任者不明の偽造金券しかないという,経済の混乱不可避の無法が法となった世界,つまり元の世界と異なる異世界だと思われる。


 流石に転生という現代日本の技術では馬鹿話にしかならない不思議体験を経て生きている訳ですから,魔物と言われる怪物が家の内外を我が物顔で闊歩し,それらと戦う戦士(身体能力と耐久力が化け物)と魔術師(何もない所から火や水っぽいのを出す)がいても,そういう風に人は進化した,もしくは科学技術が私(旧人類?)から見て魔法にしか見えない程発展した未来の可能性だってあった。

 

 しかし,通貨を作っているのが国ではなく魔物,というのはどんな不思議な進化や発展があっても元の世界にはない現象すぎるし,そういう技術が生まれたとしてやる理由が謎過ぎる。これが同じ世界だと言われたら,生まれてくる時代を間違い過ぎていると言わずにはいられない。その仕組みを考えたら異世界というよりもゲームの世界としか思えないだろう。

 現にいま,目の前で戦っていた人達が死んだ魔物の体の中にあった金を取り出している。


 そう。この世界では魔物の体内に通貨が入っている。因みに,通貨だけでなく,偶に不思議な効果の武器や防具,道具や食料も体内にある時がある。魔物の大きさに関係なく,ある時はある。そして,そこに魔物の肉があるのに食べようとするとすり抜ける。それが真理。


 しかも,ちゃんと複雑な絵柄があって偽造不可能なんだよ。やったね!これで偽造通貨が溢れると言う混乱がなくなったよ!偽造通貨が溢れても元々通貨に価値なんて無いけど!


 何でかって?魔物は生殖し数を増やすだけでなく,空気中の魔力が集まって自動で生産される。

 つまり,通貨は増え続ける一方で,この通貨を使おうにもスーパーインフレーションを超えた,インフレに何かを金で買おうにもその辺の石より価値のない通貨では何も買えない。


 ムカつくことに,この通貨は魔力の籠った道具に一応分類されるから,特殊能力があって,持った状態で念じると世界に所持金が記録されて消える。欲しい時は念じると記録されている金額までを引き出し可能な利便性を備えている。

 これだけなら,この通貨はコインの形をしているからいくらでも持っていられる投石代わりになるかな,って期待しても駄目だった。

 この通貨は無駄に高性能でさっき言った金の預け入れだけでなく,落とし物防止機能があって,売買の時や譲渡の時以外に手から離れると,その瞬間に消えて預金される。後は,通貨の状態保存機能と偽造防止機能でそれぞれ,どんなに力を入れても壊れない能力と偽造しようと考えると思考を弄られて偽造できなくする能力。


 こんな世界でもゲームの世界だからかな,犯罪者は一人もいないんだ。凄いでしょ,犯罪率ゼロですよ。先進的過ぎない?

 まあ,法律も国も通貨の価値もゼロだけど。

 あるのは個人主義で弱肉強食な自由だけど。


 魔物産通貨を使わなければ金が使えて文明が築けると思った?魔法なめんな!魔物産通貨以外は偽造が簡単すぎて価値が一瞬でなくなる。今の世界で生きていけるぐらい凄い人なら息を吸うのと同じくらい簡単に偽造できるから。魔物産通貨はその特殊能力と纏う魔力,繊細な模様で偽造は不可能な信頼できるこの世界唯一の通貨なんだ。

 そして価値もないから誰も魔物産通貨を偽造しようとすらしない,絶対の安心感がある。あるのは安心だけだが。


 確かに,政治家達や富豪による不正は一切起こらず,誰もが平等に金を得られる機会があるというのは凄いし,平等で公平のように見える。確かに,武器防具,生活用品と言った必要な物を独占されずに誰にでも得られる機会があるし,自分の欲しいだけ努力すれば結果が得られるというのは,素晴らしい理想のようではある。


 余計なお世話じゃ,ボケ!人間は勝手に自分がより良くなる方に努力をして自浄作用が働くわ!人間なめんな!変な方法で平等にして欲しいなんて誰も願ってねぇわ,ボケェ!


 私がこんな世界変えてやる!


 先程から,変な事を考えすぎてる。漸く,長い年月の集大成がここになると思うと興奮して訳が分からなくなるな。



「兄貴!目標量到達しやした!」

「兄貴!ホントにこれで,これで,この世界を変えて下せえ!」

「「「「兄貴!!」」」」

「ああ。よくやった!ようやくだ!ようやく気は満ちた!後は私に任せよ!世界を改変するぞ!闘争しかなく,一切の不平等のない機会を得ることのできるこの世界を変えてやる!」


 今私の前には集まった大量の魔物産通貨と超大規模な魔法陣に見立て変形させた大陸。この時の為に鍛えた魔力操作技術と仙術を使って世界を文明が育める世界に変える!


 預金機能は,世界と接続し,空間に情報を書き込み,通貨を世界に満ちる星の魔力に変える機能だ。

 私の魔力と魔法で常に私が持った状態にしている,大陸中に敷き詰められた巨大な溝(魔法陣)を埋めるほどある魔物産通貨を一斉に落とし,落とし物防止機能で一度に預金させる。

 あまりに大量の魔物産通貨の預金により,大陸中の空間の書き込み容量が限界を迎え空間が軋む。たった今起こったこの世界の史上初の空間の軋みである自然現象(この世界の魔物産通貨による機能は全て自然現象だ。)を認識し,通貨の世界への接続から今起こった現象の記録を魔法を使ってハッキングを掛けながら読み取って,その記録に基づきながら仙術で規模を拡大し,大陸中ではなく世界中で空間を軋ませる。


 ここで,空間の記録領域がパンクしたことによって,通貨が魔力に戻りつつある状態であり,今はまだ通貨の体裁を取っており,状態保存機能が働く。

 即ち,空間が軋む影響で通貨に凄まじい,文字通り世界を軋ませるような衝撃が加わる。それに加え,半端に魔力に戻った魔力をすぐさま私の支配下に置き,記録出来ないというエラーに対する対処として魔力が通貨に戻ることを防ぐ。


 空間が軋む衝撃が状態保存機能により,衝撃を防ぐために一つ一つの通貨が世界の,星の魔力を掻き集めようとし,男によって妨害され,この通貨の影響圏であるこの星すべての魔力を集めようとすべての魔力を通貨システムの支配下に置いて集める。

 通貨が欠損したことによる影響で,隠し機能(通常では傷一つ付かない為,隠し機能)である通貨の修復機能という最上位の重要度を誇る機能が働き,全ての機能を停止し,魔力を集めて修復に使おうとし,妨害される。


 これにより,平時のシステムから緊急時用システムに切り替わり修復機能が次の段階に移行する。

 停止させられた通貨製造機能だったが,既に作られた通貨とそれの分配ユニット(マモノ)やそのドロップ品はそのまま存在していた。

 それを緊急時システムが全て魔力に変換し,過去類を見ない程に星の魔力の過密状態にし,植物や動物などの生命体からも魔力を吸い機能復旧に足る魔力を集めようと凄まじい吸引が始まった。


 ここまでは計画通りだ。

 この300年間,計画を立てそれを実行できる実力を鍛えるのに使った。いくら魔法のある世界と言っても300年は長すぎた。人間のまま生きるには到底不可能な年月だ。

 そこで,私は自分の肉体を捨て,(魔力)だけで生きていく魔法を開発し使っていた。


 その影響でこの魔力吸引は存在が持ってかれそうな程,キツイ。私のような魔力だけで生きている者じゃない,私を慕ってくれた彼らにも堪えるようで既に全員が気を失っている。


 しかしこれで!世界に満ちる全ての魔力が嘗てない密度で魔法陣に集まっている!

 私自らがそこに飛び込み,魔法陣は発動した。


 緊急システムは発生した通貨の問題解決に全能力を注ぐ。だから,平時の通常システムと異なり,システムへのプロテクトが甘い。それでも私ぐらいでないと問題にならない範囲だが。

 魔法陣に飛び込むことで私の魂は魔法陣に宿り,より精密に操ることができるようにした。魔法陣は緊急時用システムを支配し,そこから通貨システム全体に対して私が干渉する為の補助装置の役割がある。

 それによって,通貨システム全体をハッキングし,私が通貨システムに宿ることに成功した。後は,このシステムを停止,もしくは,破壊するだけだ。


 な!?ここまで来て駄目なのか!?

 通貨システムは途中で止めることを想定していない。星を生物に見立て疑似魂構築し,その深い部分にまで根ざしていた。これを止めたり,壊せば,星そのものの寿命が殆どなくなってしまう!


 それに通貨システムは魔力や魔法,仙術といった不可思議な現象作り出している元凶ではないのか。逆に不思議現象が通貨システムを支える根幹なのか!?ずっと勘違いをしていたのか!?まさかホントに元々魔法のある世界だったのか…。


 元々の計画では,通貨システムを破壊することでこの星から魔法を無くし,地球のような変な力のない星に変えるつもりだった。

 

 ここまでか。クソこのゲームみたいな頭の悪い通貨システムとか,魔物とか,魔法とか,そんなへんちくりんな頭のおかしいシステムを一から同じ奴が作り上げたもんかと思って居た!

 だから,一つ潰すことで紐付けされていそうなシステムを連鎖的に潰すことができる筈だったが,見誤ったか。



 このまま…まだ手があった。これなら少しは変えられるか?魔法なんてゴミみたいな要素のせいで文明は育たず,通貨システムを作り上げたクソのせいでこの世界に魔物が溢れ,弱者が生きられなくなった。


 この私が通貨システム作った奴と似たようなことをするのは癪だが,人の手に再び文明を育む土台を作るにはこれしかないか…。


 ステータスシステムを通貨システムにつなげる形で構築した。通貨システムを使って空間に記録し,魔力を集め魔法を自動で構築するシステムだ。

 魔物を倒し,得た通貨を使いステータスという|星の魔力を用いた強化魔法バフ定型化された魔法(スキル)を買うことができるようにし,ドロップ品も買い物専用にした。


 バフやスキルで誰に学ばなくても魔法を独学出来るようにし,ステータス画面を作り,そこにショップ機能を作り消費先を作り出した。殆どの者にとって数が多く,強すぎる魔物を無くし,その地域にあった強さの魔物が出るように調整した。

 後は,魔物産通貨でショップから偽造防止機能の魔法を使えるようにした。これによって魔物産通貨は戦いをしたい奴だけが使う者になり,国によって違う魔法をもってしても偽造出来ない通貨ができ,文明が栄える筈だ。


 これで,当初の計画こそできなかったが,目的はある程度達成できた。

 しかし,この不思議の力関係のシステムを壊すことを諦めた訳ではない!やはり,地球の様に魔法なんて,ない方がいい!どこのゴミがこんな世界を作ったか知らねぇが,いつか壊す奴が出来るように道を作った!ステータスシステムで多くの人で魔法を私の領域まで到達できる可能性があるように設計した!!

 諦めないぞ。こんなゴミみたいな法則のある世界,いつか超えてぶっ壊してやる!神が作ったと言うのなら,人間の可能性を思い知らせて後悔させてやる!


 まあ,そんな感じでここは,ステータスがあり,スキルがあり,地域によって出る魔物の強さにバラつきがあり,幾ら持ってもかさばらない変な通貨の流通する世界。 

 

 つまり『私はゲームの中(システム)に転生した。』



読んでいただきありがとうございます。改善点などあれば教えてください。

文章力を上げるために役立てます。

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