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高次元世界で生きていく  作者: エポレジ
第2章 地下世界
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16話 新たな仲間

 パーティーでの生活も2週間が経った。

 雪夜の凄まじい魔物狩りによってクリスタルは順調に集まっていき、ついにクリスタルを3つ揃えた卒業生が出た。


「じゃあみんな、また外で会おうぜ」


「おう!」


 武谷さんが3つのクリスタルを抱え、門をくぐる。

 みんなは手を振って見送る。


「さ、俺達も武谷に続くために今日も頑張るぞ!」


「「おう!!」」


 今日は俺、雪夜、原田さん、川野さんが魔物狩り当番。


 バチュン!! バチュン!!


 いつものように雪夜が順調に魔物を倒していく。しかししばらく経った後、突然雪夜の様子がおかしくなった。


「あれ……」


 ペタン


「どうした、雪夜!」


 力なく地面に座り込んだ雪夜は、汗の量が普通では無かった。


「はあ……はあ……」


「こりゃいけねえ、拠点へ運ぶぞ!」


 俺達は狩りを中断し、雪夜を拠点へ連れ帰った。




「マナの使い過ぎ?」


「ああ、おそらくな。マナを使って次元に関わり続けるとマナは消費されていく。マナはその人のパワーそのものだから、減ると体調を崩し、尽きると死に至る」


「そんな……! 雪夜は大丈夫なんですか!?」


「大丈夫。マナは自然に溜まっていくからな。使わずに安静にしてると回復するさ」


「やっぱり毎日の出陣はちょっとハードだったか。これからは松蔭もお留守番ローテーションに入れよう」

 

 今回のことで、2つの問題が浮き彫りにされた。1つ目は、雪夜の能力の使用には限界があること。そして2つ目は、俺達が雪夜に頼りすぎていたことだ。


 しかし、だからといっていきなり何かができるようになるわけでもない。まだ俺は1匹も魔物を倒せていない。必死に武器にパワーを込めようとするが、何も変わらないんだ。本当に無能力者でも戦えるようになるのだろうか……。



 ◇◇◇



 結局、この先も変わらず雪夜がクリスタルを荒稼ぎし、1人、また1人と外へ出て行った。そして、ついに最後の原田さんが3つ目のクリスタルをゲットした。

 拠点を空けるわけにはいかないので、部屋で原田さんに別れの挨拶をした。


「お前ら、世話になったな。短い間だったが楽しかったよ。武器や道具は自由に使ってくれ」


「原田さん、ありがとうございました。俺も楽しかったです」


「私もですわ。お陰様で色んなことを学べました。感謝いたします」


「ありがとう。じゃあ、向こうで待ってるぜ」


 原田さんは部屋を出て行った。


「さ、俺達もクリスタルを集めて、とっととここから出よう!」


「そうですわね」


 現在、雪夜は1つ、俺は2つのクリスタルを持っている。


 もちろん、俺達はこの拠点を引き継ぐことにした。

 しかしながら、内側からのみ鍵がかけられるため、複数人で探索に行くにはお留守番役がもう1人いる。


「雪夜、今日は俺が誰かをパーティーに誘ってくるからお留守番して休んでいてくれ」


「分かりましたわ。よろしくお願いします」


 俺は探索に向かい、スカウトを試みる。

 早速目についたのは、見覚えのある赤髪の少女だった。


「あ、あいつは!」


 俺は必死に剣でスライムを狩っている少女に声をかけた。


「おーい、よかったら俺達の仲間になってくれないか?」


「仲間? って、誰かと思えば。ふざけないで」


「ずっと一人で戦ってるんだろ? 俺達と手を組めば早くここから出られるぜ」


「冗談じゃないわ。私は私の力でここから出て行くの。あと1つでクリスタルも集まるし」


 少女は2つのクリスタルを自慢げに見せてきた。一人でコツコツと魔物を倒し、最近ようやく1つドロップしたという。まだ1つもドロップさせられていない俺は明らかに劣っていた。


「名前だけ聞いていいか?」


「フン。【千陽(ちよう) (いちご)】よ」


「俺は九重だ。お互い頑張ろうな」


 スカウトは失敗。でも、俺と同じ赤砂寮の無能力者でも頑張っている苺は、なんだか応援したくなった。



 その後何人かに声を掛けてみたが、いずれも勧誘は失敗。勧誘すらも雪夜にお願いする方が早そうだな、と諦めていると、小太りの男が泣いているのを見かけた。


「うっ……ううっ……もう嫌だこんな場所……!」


「あの……どうしたんですか……?」


「あなたは……」


 彼の名は宮本。俺達と同じ新入生らしい。

 しかしクリスタルを無くてしまい、さらに魔物を倒せずクリスタルをゲットできる気配もないので、心が砕けかけていたという。


「早く帰りたい……ふかふかのベッドでゲームしていたい……」


 宮本は泣きじゃくる。

 だが、他人事ではない。雪夜がいなければ、未だに魔物を倒せていない俺もこの男と大差ないのだ。なんだか俺はその弱々しい姿を見捨てることができなかった。


「なあ……俺達と組まないか? 一緒にここから出よう」


「え……」


「戦闘に向いていなくても、できることはある。みんなで力を合わせよう!」


 戦力には全く期待していないが、ぶっちゃけ留守番さえしてくれれば十分だ。


「いいの……ありがとう……!」


 宮本は泣きながらすがってきた。

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