ファイターの真実
人間のコピーと言うのは既に確立されている事実です。特許No.を載せて居るので、そこからその技術を見に行ってください。魂とは何なのか? それがきっとわかると思いますよ!
すみれさんが突っ込んだ部分に、セイヨは観念した様で話し始めた。そこにはファイターと言うのが、そもそもただスタジアムで戦闘するだけの存在では無い事が含まれていた。
「つまり、ファイターの仕事ってのは別に存在するわけか」
「そう言う事だな。そもそも最初に言った、国連の様な組織が出来る前からの話に遡るが、地球と同じ様に、この世界でも戦争が世界中で繰り広げられていた事は言ったな?」
「それでアライアンスと女帝が手を組んで、国連の様な組織を作り、ファイティグフライトによる安定を図ったんですよね?」
「そうだ、それで一応の収束は見た。だが君達はこの地球の現状を見ながら考え、この世界がそれだけで完全なる平和が来て居ると思うか?」
「有りえないわね、そもそも地球では国連がDSなんだから、平和など絶対に訪れないし、この世界でもDS達がそんな物で大人しくして居るわけ無いわ」
「そもそもこの世界に国が16しか無いと言うのが考えられません。加盟国ではない国もあるんじゃないですか?」
「流石だな、元々俺の話も半分で聞いていた訳か」
「ええ、嘘だとは思って居ないけど、全部包み隠さず話しているとは思っていなかったわ」
「随分と俺達も前回の事で勉強させられましたからね」
「わかった、全部話そう。そもそも君達は戦争とは何で起こるか、知っているか?」
「宗教や主義主張の違い、領土的な野心…….と、前なら答えたでしょうけど、支配者による、利権とプロパガンダよ」
「リリィの言う通りだ。今も過去も、全て一握りの者達によって戦争は引き起こされている。確かに人それぞれ主義も主張も違う、その中で衝突は必ず起こるだろう。だが人には自制心と言う物が有る。だから殺し合いに発展する前に必ず自制心が働き、争いが起こらない道を絶対に模索する。それが人だ。だがその自制心のタガが外れる事が有る」
「大切な者を守るためね」
「そうだ、DSはそこを必ず利用する、奴等は非常にそこが長けて居るんだ。戦わなければ侵略される、戦わなければ家族や愛する人を守れない。そう互いに言ってそのタガを巧みに双方から外して行くんだ。
奴等の手口はこうだ。先ず対立の図式を生み出す、それは宗教だったり民族だったり、男女だったりと様々だ。またその図式を産む為に平気で嘘を言う。日本でも沢山あるだろう? 同和問題や朝鮮人部落問題、アイヌ問題、あれらは全てDSが仕組んだ罠だ。それに双方がまんまと踊らされて居るわけだ。それを殊更マスコミで意図的に大きく取り上げ、プロパガンダに使う。こうして互いを対立させて、その国の内部から破壊して行くんだ。政府を使い、難民をその国に送り込み、その中に工作員を忍ばせる。そしてその者達に内部工作をさせて居る。難民が入り込んだあと必ず何人かが行方不明になるのはその工作員達だ。
そこでこの世界の話になるんだが、先程アフロ君が言った様に、この世界にも大小様々な国がある。国際連邦に加盟して居ない国も沢山有る。DS達はその国々に工作員を送り込み、戦争を起こして居る。そしてその国から難民が当然発生する。そこで国際支援と称して難民を加盟国に避難させる、そこに内部工作員を送り込むわけだ」
「やってると事地球と一緒じゃない」
「それが一番人道的に見えるからな、各国はその工作員に苦慮しているのが現状なんだよ。当然日本と違い、スパイ防止法の様な物もあるし、政治活動は外国人は禁止されている。それがバレれば国外退去だ、この辺りは日本と違い楽だ」
「成る程、つまりファイターは普段の仕事に、公安の様な仕事が有る、そう言う事ですね?」
「ガルシアも聖ラーも、日本と同じ様に、捜査権を軍は保有して居ない。捜査権はやはり憲兵隊に有る。ファイターは憲兵なんだよ」
「納得が行ったわ、そもそも10年に一度スタジアムで戦うだけの仕事何てありえないと思ったわ」
「それで? 私達は一応それでも良いわ、どうすれば良いの?」
「今回は君達の安全を考え、向こうに仮の肉体を用意する事になって居る。つまりスタジアム外で死んでも君達はここに戻って来るだけだ。まあその時点で任務失敗となるがな。給金はそこまでだ。成功報酬も出ない」
「意地でも成功させるわよ!?」
静香と俺が母さんから睨まれた….静香は圧力に屈して居る様だ…..
「つまりアバターと言う事ですか?」
「そうだな、一応本物の肉体だから君達が思って居るアバターとは違うが、あくまでもインキュベーターにより造られた肉体だ。だから当然痛みなども同じ様に襲って来る。完全なアバターだとDS達にバレるからそこは我慢してくれ。先ずはそのリストから自分が気にいる肉体を選ぶと良い」
そのリストには、男女、老若男女様々な物があった。バイオニックヒューマノイド、つまり人間のコピーダブルだ。
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バイオニックヒューマノイド
特許No. CN1602985A
コピー人間の造り方
特許 No. US10163055B2
つまりこれにより魂を入れ替える
概要
メソッド、システム、および製品は、生物学的ホスト内のホスト内ネットワークとホスト間ネットワーク間のインターフェイスを提供する。
神経領域の変換は、生物学的ホストとの間の通信をルーティングするために実行される。
生物学的宿主との間の通信をルーティングするために、生物領域翻訳を実行することもできる。
ボディダブルは映画だけの話では無い。これは特許も取られて居る事実だ。インキュベーター、つまり魔法少女 マドカマギカの話は、魔法少女を創り出すキュウベイと言う謎の生き物が登場したが、あの宝石はなんだった? 魂だ。つまりあの話は事実に基づいて造られた話しだ。
インキュベーター=キュウベイ=魔法少女マドカマギカ
インキュベーター=バイオニックヒューマノイド製造装置=現実
と認識すれば良い。
この事実は皆が何時も目にするニュースからでも見て取れる。一番わかりやすいのは何かわかるだろう? 5年前のバイデン大統領と、今のバイデンの顔を見比べて見るが良い。全くの別人だ。
つまりそう言う事だ。
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とりあえず俺は年齢、背格好、容姿が一番近い物を選んだ。一応皆が選んだ物をラーニングして貰える。これにより、誰が誰かを俺たちの間でのネットワークで判別出来る様になる。このネットワークは結構便利で、誰が今どこに居る程度の事は判別出来る。またemergency Codeをオンする事で、緊急に助けを求める事も可能だ。更にこのシステムは、次元を超えて通信出来る。つまり俺たち相互間でテレパシーも使え、更にここに居るセイヨとも通信が行える様だ。アライアンス軍はこんな技術も持って居たのかと俺たちは驚かされた。
「さて決まったらその量子ヒーリングベッドに入ってくれ。君達の肉体はそこで補完される。そしてそのlooking glassから魂だけが転送され、向こうに行けば自動的に今君達が選んだ肉体に入って居るだろう。向こうには既にアライアンス軍の君達をサポートする者が君達の肉体を管理している。
一度ガルシアの地下基地に行くが、そこから君達は目的の国の王城へ行ってくれ。ガルシアにも聖ラーにも、重臣にアライアンス軍の幹部が居るので、基本的にその者から後の行動については話が有る。ガルシアはシャオリンやリリィもあって居る、ミンメイがその役に居るからやり易いだろう」
「手回しの良いことだな」
「まあな、では成功を祈っているぞ」
一瞬目の前が暗くなり、直ぐに景色が変わる。これは何時も俺が量子テレポートしている感覚そのままだ。若干ふわりとする感覚に襲われて、最初の頃は酔ってしまいそうだったが、いい加減慣れた。
気がつくと、俺が選んだ身体に変わっている。皆無難な身体を使って居るので、然程困る事はない。
「ようやく来た様ですね、お待ちしていましたよ」
「あんたは?」
「アライアンス軍、宇宙軍所属の桐谷 誠二尉です。皆さんが今日ここに来ると言う事で、待っていました。とりあえず此方へ、何処か身体に異変とか不調などは有りますか?」
皆首を振って居る、俺も特に問題は無さそうだ。
「ではついてきてください。歩きながらこの世界についてお話しします。概ね河野空佐に聞いてると思いますが、ここでは皆さんが行く国についてお話しします。先ず破竹サーバーの皆さんは、ガルシア王国に行きます。その他は聖ラー女王国です。女王国と言うだけ有り、代々ラーは女王が統治する国です。基本的な違いはこの辺りだけです。まあ聖ラーは例の世界の流れから、中華風の建築物が多く、ガルシアは西洋風の建物が多いと言う違いはありますね」
「映像で見た限りは、スタジアム付近以外はまるで中世の様だったわ? あれはどうなって居るの?」
「そのあたりを詳しくお話しさせて貰います。先ずこの世界の文明と言うのは、地球と全く異なる発達をして来ています。理由は魔物と魔法です。文化レベルで言うなら、皆さんが見たままと言って差し障り有りません。つまり文化レベルは中世です」
「じゃああのスタジアムの周りは? あれは何?」
「そうですね、この世界の神、そう考えて貰えれば良いと思います」
「ああ、成る程、そう言う事か」
「アフロ、わかったのか?」
「かつてシュメール文明と言うのがメソポタミアを作ったのは知って居るだろう?」
「ああ、名前くらいは聞いたことが有る」
「そこは神と人間が共に暮らしていたと言う神話が残されて居る。そしてギルガメッシュ叙事詩には、ギルガメッシュは身体の3分の2が神、3分の1が人間と言う半神半人だったと記録されて居る。そしてシュメール文明は、今の時代にも劣らない、非常に優れた天文学、そして医学を持っていた。外科手術すら行っていたそうだぞ?」
「あ、つまりこの世界では、神が居て、そしてその神がスタジアムを作った!」
「そう言う事です。まあ神と言っても実はアライアンス軍と、そして女帝なんですけどね」
「そう言う事か、良いのか? 必要以上に干渉して」
「DSもかなりそう言う部分では干渉しています。一応此方が平和的な部分でしか干渉しないとして居て、DS側にそれ以上干渉するならば、此方も全力で潰すとある意味協定が出来て居るので、微妙なバランスが保たれてると考えてください」
「つまりこの世界のスタジアムは、神聖な場所、そう理解しろって事ね?」
「そうです、この世界の人々にとって、スタジアムは言わばエルサレムとか、日本で言うなら伊勢神宮の様な場所と考えてください。女帝は女神として崇められています。名をイナンナとしています」
「おいおい、まんまじゃねえか」
「特に聖ラー王国に行かれる方々は、女帝への崇拝心に気おつけてください。あの国では女帝は絶対神です」
「わかったわ、女神イナンナねえ…..」
「ガルシアには何か気おつける事は?」
「一応ガルシアも女帝を神としていますが、ラー程の強い信仰心は有りません。勿論教会では女帝に祈りを捧げていますが、特に絶対にミサに行かなければいけないと言う決まりは有りません。ラーでは毎日ですし、食事の時も祈りを捧げます」
「汚ねえぞ!?」
「知るか、恨むならセイヨを恨め」
「基本的な法に関しては、ラーもガルシアも然程変わりは有りません。肉体の記憶に其々の憲法がプログラムされて居ると思います。故に基本的な事は自然と頭に浮かぶ筈です。言語に関してもプログラムされて居るので、普通に会話や読み書きは出来ると思います」
「私達の立場とかはどうなって居るのかしら?」
「一応元々憲兵とその家族として登録されています。この世界では王侯貴族がいます。王侯貴族以外は苗字は持ちませんので、皆さんに苗字は有りません。そのゲームでのネームが皆さんの名前です」
「成る程、つまり既に王国で憲兵として登録されて居る訳ですね」
「そうです、住まいなども全て用意して有ります。あとこの地下基地はDSすら知らない基地です。基本的にこちらから招集がかからない限りは立ち入りは出来ませんので、それは覚えて置いてください。この場所は、丁度ガルシアとラーの中間点にある山脈の中に造られています。馬車が用意されて居るので、皆さんはこれからその馬車に乗って、王城へ向かってください。向こうに其々皆さんの案内人がいます」
俺たちを待って居るのはミンメイだと聞いた。そこでこの世界での俺たちの仕事が始まるって事か。